2023年3月に登場したレクサス RZ。BEV専用プラットフォームに、4輪駆動システム「DIRECT4」を採用して、気持ちのいいドライビングフィールを特徴としている。ここでは、レクサス初のBEV専用モデルを3人の自動車評論家がそれぞれの視点でズバッと斬る!!
※本稿は2023年6月のものです
文/松田秀士、片岡英明、橋本洋平、写真/ベストカー編集部、LEXUS
初出:『ベストカー』2023年7月10日号
■レクサスBEV戦略の幕開けを告げる一台!!
トヨタ初の量産電気自動車「bZ4X」と同じプラットフォームを使う兄弟車レクサス「RZ」。ホイールベースの間に大容量の駆動用バッテリーを仕込んだBEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用。走りと質感はレクサスのこだわりを注ぎ込みフラッグシップBEVに仕立て上げている。
そんなRZをどう評価するか!? ベストカー本誌4月26日号では国沢光宏氏が袖ケ浦フォレストレースウェイで全開試乗し、前後駆動力配分を100:0~0:100まで可変させることができる「DIRECT4」など、レクサスならではの技術を徹底分析。限界を超えた際の挙動についてレクサスの狙いと課題を語っていた。
今回は、松田秀士氏、片岡英明氏、橋本洋平氏に全方位で斬りこんでもらう!!
●RZ450e version L
・全長×全幅×全高:4805×1895×1635mm
・ホイールベース:2850mm
・車重:2100kg
・電動機:交流同期電動機、前後輪2基搭載
・フロントモーター:203.9ps/27.1kgm
・リアモーター:109ps/17.2kgm
・総電力量:71.4kWh
・一充電走行距離:494km
・WLTCモード電費:147Wh/km
・価格:880万円
■ブランドの意地をかけた!? 驚きの静寂性
そのデザインを象徴するかのように乗り味も新型にもかかわらず熟成されている。
走り始めてまずそのしっとりとした乗り心地。まさに高級車と言わんばかりの路面を舐めるような、さらに吸い付くような接地感。そしてロードノイズの耳障りな雑音もなく、室内は外界と遮断されたかのような静粛性。
BEVゆえに静かなのは当然だが、モーター音はもともと静かゆえにロードノイズや風切り音が目立つもの。なのにこの静けさはレクサスブランドとしての意地か? かなり遮音に尽力している。
少し激しくステアリングを切り込んだ時にも、すべて吸収してくれているかのように行儀よくスムーズに旋回を始める。
ボディはとてもしっかりとしているから、荒々しく操舵すればそれに応えてピーキーな反応をするかと期待したが、相手は大人だった。スムーズにロールを起こし、サスペンションはオーバーシュートすることなく予想した旋回円をトレースしてゆく。すべて落ち着いた動き。高級SUVのハンドリングそのものだ。
こういう言い方は好きではないが、まじめに欧州車を超えている。ベースとなるのはbZ4X/ソルテラ。どちらかというとソルテラの4WDに静粛性もハンドリングも似ている。ただ個人的に思うのはスポーツモードではパワーBEVらしいアリアのような過激なモーターパワーとハンドリングが欲しいところだ。
RXに準じたADASを採用しているが、LS並みのアドバンストドライブを設定してほしい。ACC+LTAもそれほど優秀ではないのだから。
●松田秀士の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:8点
・静粛性:9点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:9点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/松田秀士)
コメント
コメントの使い方