■セドリック3位(全体でも3位)、クラウン13位(全体では10位)。自身の評価と全体の結果をどう見ますか?
(TEXT/御堀直嗣)
230型のセドリックは、それまでに比べてぐっと豪華になり、クラウンをしのぐ勢いを感じさせる4ドアセダンだった。
また、それまで4ドアセダンといえば前後ドアの間に支柱があり、四角張った造形の印象があったが、4ドアハードトップという新たな価値を提案し、そのハードトップのスタイルの格好よさと、4ドアの利便性を併せ持つ魅力は大きかった。
グロリアと共通の車体を用いた最初の世代であり、豪華さや斬新な価値の提案によって、当時はクラウンの販売台数をグロリアと合わせると抜いたはずだ。
S12クラウンは、ここから「いつかはクラウン」の言葉が生まれ、クラウンらしいクラウンの一台だが、「アスリート」グレードを設けるなど、クラウンがこの先を模索していた時代ではないか。
時代の評価という意味で、セドリックは、日産がトヨタと堂々と戦っていた時代への郷愁も思い起こさせる。
■ずばり、初代シーマを1位(全体では6位)にした理由は何ですか?
(TEXT/国沢光宏)
昭和を代表するセダンといえば、やはりシーマか7代目セドリック&グロリアにラインナップされていたグランツーリスモでしょう!
昭和の終わりの社会に大きな影響を与えたが、バブル景気の面白さを挙げるなら「ホンモノは間に合わなかった」ことだと思う。
バブル景気の間に開発を開始し、それまでの日本車とハッキリ違う完成度やクォリティを持つセルシオなど出てくるの、景気が落ち込む平成ですから。昭和って戦後のドタバタや「急ごしらえ感」こそ味になっている。
という観点からシーマを見ると、セドリックのボディを強引に拡幅し、新しくないエンジンにターボ付けてドーピング。
冷静になって評価すると、いろんな意味で昭和の味が濃いですワな! 当時、バブル景気で舞い上がる日本人の気持ちを満足させる押し出しの効くクルマって、シーマしかなかったと思う。
クラウンもワイドボディを出したけれど、シーマの前に完敗しちゃいました。トヨタにとって一番手厳しい「負け」だったかもしれません。
■ほかの3人と違い、3代目トヨタ コロナが3位の高評価。この理由は何ですか?
(TEXT/片岡英明)
3代目のコロナは国際商品を掲げて1964年9月に登場した。
2代目まで、コロナはメカニズムの信頼性はもちろん、販売面においても日産のブルーバードの敵ではなかったのである。この時期まで、ファミリーカーといえばブルーバードだったのだ。
が、トヨタはブルーバードを徹底的に研究し、デザインにも新しい感覚を積極的に盛り込んでいる。
ストレート基調のダイナミックなアローラインと堂々とした4灯式ヘッドライトの3代目コロナは、デザインが美しかった。女性層をも魅了し、発売されるや大ヒット作となっている。
開通したばかりの名神高速道路を使って耐久信頼性をアピールし、メカの優秀性もアピールしたから、尻下がりの2代目ブルーバードを販売面で圧倒した。
この3代目RT40系コロナはベストセラーカーになっただけでなく、日本初の2ドアハードトップや使い勝手のいい5ドアのHBセダンも送り出している。
日本のファミリーカー文化を花開かせた傑作だから、迷わず3位としたのだ。
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