■ユーザーは比較検討がしやすくなる
ユーザーにとってのメリットは、これまで中古車の車両本体価格で比較するケースが多く、諸費用を含めると高額になってしまうということが、今回の全車支払総額表示で解消する。
また、これまで中古車の車両本体価格が高いと思われがちなディーラー系販売店の中古車でも、支払総額では専業店と変わらないということもあり、選択肢の幅が広がることが考えられる。
その一方で販売店は、プライスボードの変更など大きな出費を伴うことになる。中古車販売のクリーン化には大切なことだが、中小規模の販売店にとっては痛手とも言える。
■「諸費用」における注意点
最後に支払総額に含まれる「諸費用」と含まれない「諸費用」を紹介しておきたい。
まずは含まれる諸費用から。自賠責保険(月割で算出・未経過相当額を含む)、自動車重量税、自動車税種別割(月割で算出・未経過相当額を含む)、自動車税環境性能割/軽自動車税環境性能割、車庫証明・検査登録の法定費用、リサイクル預託金相当、検査登録手続代行費用、車庫証明手続き代行費用だ。
支払総額に含まれない諸費用は、任意保険料、希望ナンバー申請費用、リサイクル料金、下取り車諸手続き代行費用、下取車査定料、管轄外登録(届出)費用、納車費用となっている。
諸費用として不適切な費用で、本来は車両価格に含めて表示しなくてはならないものは、納車準備費用や通常仕上げ費用など、その名称に関わらず、納車前の「車内清掃」、「洗車」、「クリーニング」、「ワックスがけ」などの費用。
納車前点検費用や納車準備費用などその名称に関わらず、納車前の「点検」や「オイル、バッテリー交換」などの軽整備の費用など。
そして保証や定期点検整備の実施が条件である場合のその費用。さらに、「土日祝納車費用」や「販売店手数料」、「オークション陸送費」、「広告掲載料」などが該当する。
■今回の改正でより安心して購入できる業界に
個人的には、中古車は販売店にとって大切な商品だと思っている。したがって店頭に並ベる際には、商品として仕上げてあるべきと考えている。そうであれば、クリーニング代や整備費用は車両本体価格に含むのが当然と言える。
ユーザーが購入を決めてから、あれをやります、これもやりますという販売店は、個人的には信用できない。多くのケースは口約束となり、トラブルの元となるからだ。
これまでも販売店やネットでは支払総額表示を推進してきたが、抜け道もあり支払総額で購入できずメンテナンスパックを付帯させられたというケースもあった。
今回の改正でこの抜け道がなくなり、どんなユーザーでも安心して中古車を購入できるようにしてもらいたい。規約違反した販売店には重いペナルティーを課すぐらいでないと、中古車業界のクリーン化は進まないと思っている。
【画像ギャラリー】これはフェアで分かりやすい!! 中古車の販売価格表示が「支払総額」に統一される!!(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方短く要点がまとまった良い記事ですね。
利益を受ける我々が注意しなくてはならないのは、記事2Pめの支払総額に含めない諸費用に、契約後に準備費用や店舗までの移動料やクリーン代金など、それらしい名前で上乗せしてくる場合です。
ゴネることと権利や問題点を正しく指摘することは違います。おかしいと思ったら恥よりも問う勇気を。