他メーカーファンのクルマ好きも一目置く存在の「こだわりのメーカー」スバル。独自の技術がファンを魅了し、「スバリスト」と呼ばれる熱狂的支持者を生み出している。ところが、そんなスバルのこだわりの技術が未来への足枷になっているという。スバルの今と今後の打開策とは?
※本稿は2023年7月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部、SUBARU、日産自動車
初出:『ベストカー』2023年8月10日号
■水平対向エンジンが足枷に!?
スバルというブランドを技術面で象徴しているのはいうまでもなく水平対向エンジンだ。1966年デビューのスバル1000以来、ずっと変わらぬアイデンティティである。
しかし、それがスバルにとって重荷となっている。
ひとつには、水平対向というメカニズムゆえの高コスト体質。まぁ、昔からスバルは技術にはコストを惜しまず、それが多くのファンを惹きつけてきたというプラス面もあるのだけれど、主戦場が北米市場となったいま、その戦略は厳しくなってきた。
もうひとつは、相変わらず燃費効率でライバルの後塵を拝していること。もちろん、スバルも不断のエンジン改良を続けていて、新型になるたびに燃費は着実に改善されてきているのだが、よくなったとはいっても常に「当社比」にすぎない。
さらにもうひとつ。やがてやってくる電動化時代に向けて、内燃機関のフェードアウトをどう考えているのかという問題。
ちょっと前までは、内燃機関は2035年で販売禁止だからそこまで延命すればOKという認識だったが、最近は明らかに風向きが変わってきている。
例えば、内燃機関が5年、10年と延命するシナリオになると、HEVやPHEVと組み合わせた効率アップが不可避。そうなると、日産のe-POWERみたいに発電専用に設計された熱効率の高いエンジンが必須。はたしてスバルにその用意があるのか。
スバルのような年産100万台クラスのメーカーが電動化への橋渡しで独自エンジンを新開発するのは容易なことではないが、水平対向にこだわるかぎり他社からOEM供給を受けるといった選択肢も選べない。
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