過去最高レベルの車体剛性
現行フェアレディZ(RZ34型)は、見た目はガラッと変わったが、ベースは2008年にデビューしたZ34型フェアレディZと同じだ。Z34型は開発当時、車体剛性の確保に特に苦労したそう。3.7Lクラスの重たい大排気量V6エンジンをフロントに積み、Bピラーの無い2ドアクーペボディのほか、(フロア面だけでねじり剛性を持たせる必要がある)2ドアカブリオレも設定されることから、車体剛性が思うように確保できず、微舵の応答性に影響がでてしまったという。この微舵の応答性の対策を施していった結果、Z34のボディは念入りに補強され、そのぶん、車両重量は増し、コストも上がってしまっていた。
それがRZ34では、フロントタイヤのワイド化に伴って、車体補強が見直されており、特にエンジンコンパートメント(エンジンルーム)を囲むようにフェンダー上部とバルクヘッドを補強したことで、フロントの曲げ剛性、ねじり剛性が向上。また、リア周りも補強されており、車両全体でも曲げ剛性、ねじり剛性が向上したという。ここからさらにNISMOでは、専用フロントクロスバーを追加し、フロントエンドを補強するとともに、リヤにも専用ラゲッジアンダーブレースと、専用リヤアンダーフロアVバーを追加してリヤフロアを補強。Z史上、最高レベルのねじり剛性に高めたことで、車体変形によるアライメント変化や接地荷重の変動を抑制でき、タイヤのポテンシャルを最大限に発揮できるようになったという。
Z34のバージョンNISMOにあったパフォーマンスダンパーのように、「しなりの速度」を制御するチューニングもアリだったのではないかと思うが、変形量そのものを抑えたほうが、ハンドリングのフィーリングがよかったのだろう。
考えうる限りのハンドリング向上セッティングが施された
車体剛性を向上させて車体の微小な変形を抑えることができれば、サスペンションのセッティングは比較的やりやすくなる。ドライバーの狙い通りの走行ラインをトレース可能なステアリング操作を実現するため、新型フェアレディZ NISMO では、ステアリング系、サスペンションのブッシュ系、バネ、スタビ、ダンパー系にチューニングが施されているという。
具体的には、高剛性のステアリングラックインシュレータ(ステアリングラックを固定するブッシュ)を装着することで、ハンドル操作からタイヤが転舵されるまでの経路で発生する微小な変形を低減したほか、前後のサスペンションのブッシュにもNISMO専用の高剛性ブッシュを採用し、ステアリング剛性とサスペンション横剛性を向上。
また、前後のサスペンションコイルスプリングのばね定数およびスタビライザー剛性を見直し、さらにはシリンダー径を拡大した専用ダンパーを採用。クルマにロールが発生する瞬間から減衰が効くようにポテンシャルをアップさせたほか、リアサスのダンパーにはリバウンドスプリングも追加し、旋回時のリア内側タイヤの浮きあがりを抑止して、リア追従性を向上させている。さらには、初期応答の向上に効果のある、高剛性エンジンマウントまでも採用。まさに、考えうる限りのハンドリング向上セッティングが施されているのだ。
コメント
コメントの使い方