■うらやましい! 英国BMWではクラシックミニをEVにする取り組みも開始!!
1959年に発売されたクラシックなミニ(ローバーミニ、ミニクーパーと呼ばれる)は日本でも欧州でも根強い人気を誇っているが、このクルマをEVにコンバートするサービスはいくつもの企業が展開している。
BMW自身もクラシックミニのEVコンバートサービスを2022年から開始している。
これはエンジンと変速機が一体になったパワートレーンをボディから取り出し、代わりにモーターとコントロールユニット、バッテリーを搭載するもの。
そして取り外したパワートレーンは保管しておき、再びエンジンを利用するようなことがあれば、元に戻せるのだ。
■ミニがEVブランドになったら険しい状況に突き当たるのか?
さて、BMWミニのEVでの話に戻るとしよう。すでにミニの生産台数のうちおよそ2割はEVだと言われているから、欧州ではかなりの人気を誇っているようだ。
今までエンジン車を利用してきたユーザーが同じようにEVを利用しようと思うなら、ミニのEVは選択肢としては厳しい条件となることもある。
それはミニのコンパクトなボディにはバッテリーを搭載するスペースは限られているからだ。
SUVなどフロアが高くボディサイズも大きいクルマは、EVとなってもフロアの下にバッテリーを搭載しやすく航続距離を稼ぎやすい。また、モーターさえ強力であれば加速性能も確保できる。
しかもあくまでBMWは、EVでもミニのゴーカートフィーリングと言われるクイックなハンドリングを維持していく考えのようだ。
EVでも軽快な走りこそミニらしいと思ってくれるファン、ミニのデザインが気に入って購入するユーザーだけを相手にするには、販売台数を維持していけるか微妙なところだ。
■希望あり! 「ミニ」というブランドイメージがEVブランドへ繋がるカギとなる!
つまり今回のテーマ「ミニはEVブランドになれるか」、という視点ではなく、「EV専門メーカーにならなければ生き残れない」という見方もできるのだ。
それだけドイツの自動車メーカーもクルマの未来に危機感を持っているのである。
欧州メーカーとしての事情を考えれば、現時点でもEVにおいては中国のEVメーカーに押されてきている状況である。
今後コンパクトカーのEVを販売していこうと思ったら、コスパとは異なる付加価値を提案できなければ、厳しくなることは明白だ。
その点、ミニというブランドのイメージはすこぶるいい。FFコンパクトカーの元祖として超ロングセラーを記録し、モータースポーツでも大活躍した時期もあった。
BMWミニとなってからも、ラリーやワンメイクレースなどで走行性能の高さやハンドリングの楽しさをアピールしている。
■バッテリー生産はどうなる? 次世代のミニクーパーSEは航続距離を大幅に増大!
2023年5月、BMWは新しいEVミニとして第5世代のミニに設定するミニクーパーSEの情報を発表した。
スタイリングは擬装されているものの、充分にミニらしさを感じさせながら、シンプルで斬新な印象にまとめ上げられている。
このBEVに関しては、2023年の末頃から中国の長城汽車と合弁で設立する工場で生産する計画だ。
初代ミニクーパーSE(BEV)の32.6kWhと比べ、バッテリー容量は最大で54.2kWhまで増大しており、航続距離は300km以上になると予想されている。
実は初代ミニSE生産時にも長城汽車との合弁が計画された経緯がある。
リチウムイオンバッテリーの調達問題もあって、中国での生産は合理的に思える。
しかし、このところ欧米や日本の製造業は相次いで中国から生産拠点を撤退させている動きもあることから、今後の動向にも注目したいところだ。
それに自動車メーカーがいかにEVの販売目標をブチ上げても、実際にユーザーに購入してもらわなければ、それは実現しないのだ。
事実、VWがEVの販売比率を高めようと増産しても、ユーザーの反応が薄く思うように販売が伸びずに減産に追い込まれている。
BMWミニがEV専門ブランドになるか、それはBMWの思惑だけでなく合成燃料などエンジン規制の行方と、ユーザーの反応、さらには中国の動向にも影響を受けそうだ。
2030年まであと6年余り。これから先も大きく方針が変わることは充分にあり得る。
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