■あらかじめの先読みと、そのための準備
(長距離バス運転手・髙橋俊哉さん)
千葉県に営業所がある、バス運転手キャリア13年の高橋さんにも話をうかがった。
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高速道路のJCT手前で、道に慣れていないクルマの急な車線変更が多く、ヒヤリとすることは少なくない。
それを防ぐためにできるだけ先のクルマの様子を見るようにしています。“あらかじめ先読みする”ということですね。
また、特に首都高速で多い狭い道や急カーブ。そこをバスで走る時は、大型車(トラックやバスなど)と並走しないこと。
車両同士が接近する危険性が高くなる。その場合はアクセルを緩め、先に行ってもらう。速く行くより安全に行くことが大切ですから。
操作として気に留めることは“ブレーキをできるだけ踏まない”こと。
バスはどうしてもブレーキパッドの摩耗が激しいので、長い下り坂ではエンジンブレーキとシフトダウンで減速し、なるべくブレーキを踏まない。車内の揺れも解消でき、お客様も快適に過ごせますからね。
そのためにも出発する前、走る高速の道をイメージし、「今日は長い下りが多いな」など前もって準備しています。
最後に「事故が多い交差点では徐行。左折時は最徐行」。基本的なことですが、これは徹底しています。大切ですね。
〈教訓〉
一、高速では先のクルマの動きを見て“先読み”する。
一、交差点は徐行など、基本的なことを徹底して守る。
■目配り「前7:後ろ3」。雨の日は通常の7割で
(長距離トラック運転手・長野潤一さん)
トラックドライバーの視点では、『ベストカー』本誌の連載でもおなじみの長野準一さんに語っていただいた。
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トラックドライバーの使命は、依頼主の荷物を決められた時間に安全に届けること。それゆえ、事故はあってはならないこと。私が実践していることを挙げていきます。
●常に目配り
走行中、落下物など何かの異変があっても常に避けられるように、自車の周りの交通(クルマ、自転車、歩行者など)がどこにいるのかを常に把握しておく。
「前7:後ろ3」ほどの割合で、後方の目配りにも重きを置きます。
●常にスピードメーターを見る
重い重量なのでスピードメーターを注視。カーブでは遠心力がかかり、減速しないと横転につながります。
またいつも通るルートでは「このカーブは何km/hまで減速する」と決めて走行。これが安定走行にもつながります。
●ETC通過は20km/h
ETC料金所では安全に通過できるよう、いつも一定速度(20km/h)まで減速するように計算して走行。安全のため、意識することは大切。
●指差し確認
発進する時や交差点などで低速で右左折する時、前を見たりミラーなどを指差して「ヨシッ! ヨシッ!」と確認。鉄道などでも実施されているけど、指を使うことで確認意識が数段上がります。
●最大限の注意“自転車”
道交法どおり自転車が車道を走ることはいいけど、逆走、ふらつき走行、いきなりの斜め横断……など、こちらの予期せぬ動きをするので要注意。
だから「自転車を運転している人は何も考えていない」と思っていることがリスク管理につながります(※もちろん、法規遵守する自転車に乗る人も大勢いますが……)。
●荷傷みさせない運転
道路の段差乗り越えなどの時は4つの(配置の)タイヤの動きに注意を配ることも大切。だから、いつも通るルートの、路面の悪い箇所はしっかり覚えています。
●雨、雪の運転はこうする
雨の日の走行は通常の7割ぐらいの運転(3割は滑りやすくなっていると認識する)。また、雪の日は通常の3割ぐらいの運転(7割は滑りやすくなっていると認識する)。
●デイライト
自車の存在を知らせるために、昼間もライトを点ける。海外ではこれが常識になっている国もありますね。
●サングラスを車内に
日没、日の出は急に逆光になり、眩惑に注意したい。だからいつでも手の届くところにサングラスを用意しておく。これは意外と重要です。
……と挙げてみたけど、運転中、妙な動きをする乗用車も多い。それに腹を立てず“織り込みずみ”で対応するのがプロの運転につながります。
〈教訓〉
一、「前7:後ろ3」ほどの割合で常に目配り。
一、路面の悪い箇所はしっかり覚えておく。
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