一部報道で三菱自動車の中国市場撤退が伝えられた。また、マツダなども中国での不振が続いているようだが、果たして今後中国市場での国産メーカーの動向はどうなるのか? 国沢光宏氏が現状を分析する。
文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部、三菱自動車
■すでに中国での三菱は事実上終わっていた?
日本経済新聞が「三菱自動車は中国の自動車生産から撤退する方針を固めた。現地の合弁相手である中国自動車大手の広州汽車集団と最終調整に入った」と伝え、ブルームバーグなども日本経済新聞の記事をベースにして同じ内容を世界に向けて報じた。
ちなみに、三菱自動車側は「当社の発表ではない」とコメントしている。この記事の真贋やいかに? 以下、三菱自動車ウォッチャーの評価です。
そもそもな話ながら、すでに中国市場における三菱自動車は事実上終わっている。私も2023年5月19日にベストカーWebで「三菱自動車の中国撤退は時間の問題」という記事を書いていて、今に始まったことじゃない。
というか、撤退の危機は三菱自動車にかぎらないのだった。2023年立ち上がりの1~3月は一番厳しかったマツダが前年比65%減、三菱自動車58%減、日産45%減、ホンダ38%減といった状況。
■中国車の販売はほぼ3分の1がEV
ここにきて中国の市場は3分の1近くが電気自動車。電気自動車を持っていないと単純に33%減となる。それでも日本勢は「電気自動車が普及していない地方部でエンジン車のニーズは多い」と考えているらしく、三菱自動車は起死回生策として2022年11月にアウトランダーの1.5L直噴ターボ48Vマイルドハイブリッドを投入したものの、売れゆきは超低迷。
広州汽車集団と資本を出し合った「広汽三菱」の生産能力は約27万台。作っても売れないから在庫過剰となり2023年3月から工場を止めている。驚いたことに生産再開の見通しが立っていない。
となると広州汽車から激しい文句が出ます。三菱自動車の30%に対し、中国政府の直轄企業となる広州汽車は50%を出資している(残り20%は三菱商事)。このままだと広州汽車も大赤字。
とりあえず、それぞれの持ち株比率で赤字を受け止めるカタチになっているけれど、このままだとさらに資金を持って行かれる。加えて新規車種であるアウトランダーが売れないとなれば三菱自動車として打つ手なし。もはや撤退しかないと思う。
工場が止まり、アウトランダーの生産を再開しないかぎり、三菱自動車の撤退発表はいつあってもおかしくない状況にあった。 もう少し中国市場における三菱自動車について紹介しておく。
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