新国民車である新型「N-BOX」の影が薄い!?　発表直後なのに注目度がさほどではないのはなぜ？

■「ミニマル路線」で外装デザインの違いはさらに小さいが……

　わかりやすいところではエクステリアだ。パッと見、「あれ？　ホントにフルモデルチェンジしたの？」というくらいに違いは少ない。ってか“新車インパクト”が小さい。

　標準ボディはフロントグリルがドット穴付きになり、オシャレに無印良品っぽく進化したがシンプル過ぎ。実はボディ全パネルが変わっているし、モダンっちゃモダンだが問題はこのシンプルモダン路線の是非だ。

　ここ最近のホンダは、ステップワゴンにせよ、フィットにせよ、すべてこの手のミニマル路線。特にステップワゴンは箱っぽいAIRを出して、イマドキなワル顔路線から決別した。それは確かにアップル製品を好むような知能の高いインテリ層にはウケるだろうが、世の中そんな人ばかりではない。

　ここでホンダはちと理想を追いかけ過ぎな傾向があり、世のクルマ好きが好む「ヤンキー魂」を無視したりする。ホンダの潔癖的物作りのガンコすぎる面だ。

■3代目はカスタムにもヤンチャテイストがない！

　特にワイルド指向のカスタムだ。2代目まではシンプルさのなかにもギラついたメッキグリルでほどよい押し出し感を演出していた。

　しかし、3代目はそれがない。こちらもシンプルモダンさを全面に押し出してメッキパーツは減ったし、グリルも微妙にひょうたんっぽい優しい外形になり、何より水平基調になった。

　その分、左右ブチ抜くLEDラインが付いてんじゃん！　とデザイナーは言うかもしれないが新カスタムには全体を通じるヤンチャテイストがない。それはそれで見識だが、正直新型カスタムは伸び悩むのではないか？　それが初期インパクトの低下にも効いてそうだ。

■じっくり売れ続けて真の軽ベーシックカーになるであろう

　最後にN-BOX全体のキャラであり、商品特性だろう。このクルマの魅力は尖った性能じゃない。特別燃費がいいとか広いとか乗り心地がいいとかではなく、すべてが高バランス。広くて質感が高くて乗り心地よくて燃費がいい欠点のないクルマ。言わばかつてのVWゴルフのようなものだ。

　正直、ゴルフは3代目も4代目も5代目も最新世代もいいクルマだ。ただし、徐々にコンセプトが定まり、煮詰まると似てくる。つまり、N-BOXは今後しばらくは2代目でも3代目でもいっか？　という時代が続き、モデルチェンジだからといって焦っては買われたりしないのかもしれない。タイミングが来たら皆がゆっくり買い換える、買うクルマになるのではないだろうか。

　N-BOXに新車効果は少ないが、じっくり売れ続け、真の軽ベーシックカーになる。で、次代を担うヒット軽自動車が生まれたらその座を徐々に譲る。そういう図式ではないのだろうか。果たして、その次世代が軽EVになるかどうかはわかりませんけど。