2023年8月31日、JAF(日本自動車連盟)は、ガソリン価格高騰をうけ、声明を発表。ガソリン税等に上乗せされ続けている「当分の間税率」の廃止と、ガソリン税に消費税が課税されている「Tax on Tax」の状況を一刻も早く解消すべきと要望しました。
JAFはこれまでも、ガソリン税のほか、クルマに課せられるさまざまな税金のあり方について、要望・提言活動を行ってきました。ガソリン価格の現状について振り返りながら、JAFが指摘するガソリン価格の問題点を考えてみましょう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_naka
写真:JAF、Adobe Stock、写真AC
また補助金でごまかすのか!! 「補助金延長」の翌日に発表された声明
ガソリンをはじめとした燃料価格については、昨今の原油価格の高騰を受け、2022年1月より、石油元売り会社に補助金を支給することで小売価格を引き下げる価格抑制策が実施されていました。これによって高いながらも抑えられていたガソリン価格ですが、2023年6月には原油価格が落ち着いてきたことで、補助金が段階的に縮小されていました。
しかし、原油価格が再び高騰したことや円安の影響などによって、ガソリンの小売価格は再び高騰。これをうけ、岸田文雄首相は8月30日、9月末の期限を前に、補助金を年末まで延長することを発表、今後は徐々に小売価格を抑制し、年末までは175円を超えない程度に抑えられるそうです。
この岸田首相の発表の翌日に発表されたのが、冒頭でご紹介したJAFの声明。前日の岸田首相の発表に怒りを覚えての声明だったかはわかりませんが、「この機会に」として、JAFは、「当分の間税率の廃止」と「Tax on Taxの解消」を要望したのです。
納得ができない「当分の間」の税率と2重課税
JAFが要望している「当分の間税率の廃止」の「当分の間税率」とは、1974年に揮発油税の暫定税率として始まった税制のこと。揮発油税は1954年に道路特定財源として始まりましたが、道路整備のさらなる拡充のため、1974年に暫定税率として税率が約2倍に引き上げられました。約2倍という恐ろしい増税ではありますが、道路整備のためという、自動車ユーザーとしては仕方のないものでした。
しかしながら、そこから30年以上が経過した2009年、道路整備が進んだこともあり、道路特定財源は廃止に。揮発油税同様に道路特定財源とされていた、自動車取得税(当時)、自動車重量税とともに、使途が特定されない一般財源化されました。この一般財源化にあたっては、揮発油税の暫定税率(2010年以降は特例税率)について問題視する声ももちろんあったのですが、すったもんだありながら結局はほぼそのまま税率が維持され、その期間も「当分の間」とされているだけで、期間の定めはない状況。そもそも特例税率(暫定税率)は、道路整備の財源が不足していたことから設定されたものなのだから、別の事業に充てるのであれば、特例税率(暫定税率)は廃止すべきではないか、というのがJAFの「当分の間税率の廃止」の内容です。
もうひとつの「Tax on Tax」は、揮発油税+地方揮発油税が含まれる価格に、さらに消費税が課されている状態のこと。ご存じのとおり、消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金ですが、税金に対して税金を払わなければならないというのは、国民として本当に納得できないところ。いまのガソリン価格は、ガソリン自体の価格のほか、ガソリン税の本則税率(28.7円/L)と当分の間税率(25.1円/L)、そこへ石油税2.8円も加わり、その合計に消費税10%がかかっているという状況なのです。
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