「テールランプ、切れてますよ!」と人に言われて気づいた灯火類の不具合。おそらく少し前から切れていたようだが、「これって捕まるの?」と思うかもしれない……。そこで今回は「実は捕まる整備不良」について紹介しよう。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC
■そもそも整備不良って何なのか?
「整備不良」とは、整備していないといけない箇所が適切に整備されておらず、簡単にいえば「そのままでは車検に通らない状態」のこと。気づいていなかったとしても、ある日突然警察官に止められ、検査によって整備不良を指摘されたらその箇所を修正しないといけない。
道路交通法の第63条には「警察官は、整備不良車両と認められる車両(軽車両を除く)が運転されているときは、その車両を停止させ、運転者に自動車検査証その他政令で定める書類の提示を求め、整備不良と認められる装置の検査ができる」と書かれているのだ。
■たかが、じゃすまない「代表的な整備不良」
●尾灯などの不具合
整備不良として、警察官に最も止められがちなのは「灯火類の不具合」。ウインカーが点滅しない、ブレーキランプが点灯しないなど。街中を走っているとたまに見かける。
「たかが玉切れじゃん」と思うかもしれないが、ウインカーが点滅しないまま車線変更等を行うと、後続車両にその意思を伝えられずに事故が起きる可能性がある。ブレーキランプが点灯しない場合も同様に事故が起きる可能性大。なので、実はとても危険な整備不良なのだ。
灯火類の不具合として整備不良とされる対象は、ウインカーやブレーキランプに加えて、ヘッドライト、バックランプ、ナンバー灯など。
小さなランプが集まっているLEDランプは、実はそのうちのひとつでも切れると要交換となる。現実的に、ひとつのみLEDを交換することは困難で、一般的にはライトユニットごと交換となるので知っておきたい。
灯火類のレンズが割れて欠損している場合は車検には通らないが、内部の電球が切れておらずドライバーの意思が他車に正しく伝わると判断された場合は違反切符を切られない可能性もある。これは、道路上での整備不良を判断するのが警察官のため、警察官の判断による部分が大きいからと思われる。
実際、筆者も若い頃、バイクのウインカーが切れていることを自車の後部に停車した白バイ隊員に指摘されたことがあるが、違反切符を切られることはなく、口頭注意に終わった。
ただし、「手信号はできるか?」や「そのままバイク屋さんに行って修理してもらいなさい」、そして「直したらこのバイクに乗って⚪︎×署まで見せに来なさい」とは言われたが……。
ちなみに、灯火類の不具合で違反とされた場合は、普通車では違反点数1点と反則金7000円となる。
●制動装置などの不具合
主にブレーキの不具合のこと。交差点での停止時に、大して速度が出ていないのに大幅に停止線を越えて停止した場合などには警察官に止められる場合があるだろうが、これはあまりなさそうなシチュエーション。
とはいえ、ブレーキの不具合は自身が危険なのはもちろん、他車や歩行者を危険にさらすことになるうえ、「危ないから……」とクルマを動かさずに駐車していても、斜面などでは意図せず動いてしまうことも考えられるから危険このうえない。
ブレーキの不具合としては、ブレーキパッドの残量不足やブレーキホースの亀裂による油圧不足、キャリパーピストンの動きが悪くて片側だけが利く“片利き”などがある。
ブレーキパッドは4万km前後の走行もしくは残量3mmになったときが交換時期だが、ブレーキパッドには「パッドウェアインジケーター」というパーツが付いていて、摩耗が進むと「キーキー」や「ゴーゴー」といった音を出して知らせてくれる。「音が出始めたら即交換!」と覚えておきたいし、可能なら自分で交換すべし。
ちなみに、「道路運送車両法」の第47条「使用者の点検及び整備の義務」という項目には、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と明記されている。
つまり、そもそもクルマはドライバーが点検・整備を行わないといけないことになっているのだ。
制動装置の不具合で違反となると、普通車では違反点数2点と反則金9000円となる。
コメント
コメントの使い方ウインカーの球切れは点滅が速くなる仕組みで判断できるけど、尾灯や制動灯の球切れは走行中ではまず気付かない。運行前点検は大事。コンビニの駐車場も有効活用しよう。