■STは本当にベストなインプレッサなのか?
しかし、STに乗ると「必ずしもSTがインプレッサのベストチョイスでもないのでは?」と感じたのも事実だった。
その理由を走行性能から挙げると、絶対的にはSTのほうが速そうと書いたが、乗用域では小さいながらモーターのアシストがある分、ドライバビリティ(乗りやすさ)はe-BOXERの勝ちだからだ。
乗り心地も車両後方に走行用バッテリーを積む分、e-BOXERのほうが落ち着いており、その点でもSTよりe-BOXERのほうが上質なクルマに感じた。
また、実用燃費もe-BOXERはSTに対し、カタログ値の約+20%はよくないとしても、10~15%ほどは向上していそうな印象だ。
ちなみにインプレッサのFF+e-BOXERで高速道路を大人しく走った際には18km/Lほど走り、「こんなに燃費のいいスバル車があるのか」と驚いた(笑)。
■e-BOXERとの価格差は約51万円だが……実質は23万円ほどか?
そして熟考したいのが価格だ。というのはFFで229万9000万のSTに対し、e-BOXERの標準グレードとなるST-Gは281万6000円と、価格差は51万7000円と確かに安い。
しかし、STからST-Gに加わる装備を見ると1サイズ大きい17インチブレーキローター、フォグランプ、革巻きのハンドルとシフトノブ、キーレスアクセス&プッシュスタート、大型モニター、リアシート用のUSBポート、後側方警戒支援システムなどと数多い。
これらの装備品をメーカーオプションで揃えられる範囲で揃えると、STは254万6500円(STには後側方警戒支援システムはメーカーオプションの設定がなく、この点は大きな不満だ)となり、後側方警戒支援システムも加味すると、STとST-Gの価格差は実質23万円程度に縮まる。
このくらいの価格差であれば、ST-Gは他社ほどではないにせよe-BOXERによる燃費とドライバビリティの向上や乗り心地が上質になるというメリットに加え、「メーカーオプションを付けるとこの価格差になるなら、初めから上のグレードを買ったほうが」という気持ち的なものも総合すると、単純にSTがいいとも言い切れないのではないだろうか。
しかし、筆者はSTが設定されていることは歓迎すべきことだと思っている。
というのもSTにメーカーオプションで設定される装備もみんながみんな必要という訳ではなく、例えばカーナビやモニターは市販品のディスプレイオーディオとバックカメラで安くすませるという考えもある。
また、「全体的に質の高いインプレッサを価格優先でリーズナブルに乗りたい」という人もいるだろう。
つまり、現行インプレッサにSTがあることで選択肢が増え、自分好みの仕様が選びやすくなっているという点が、STの存在意義や大きな魅力なのではないだろうか。
■2025年登場予定の次世代e-BOXERに期待!
今回、インプレッサSTに乗って得た収穫のひとつは比較的簡易なe-BOXERながら、燃費に加えドライバビリティの向上など、それなりの存在意義があるということだった。
しかし、やはりというか他社のハイブリッドに比べると絶対的な燃費をはじめとしたインパクトやメリットの大きさに乏しいというのも事実である。
そのあたりを総合すると、つなぎと思われていたe-BOXERがもう10年も頑張ったことやCAFE(企業別平均燃費基準)、さらには他社との競争などを考えると、2025年の登場と言われているトヨタのシステムを使った次世代e-BOXERが、スバルらしい魅力を持ったうえで少しでも早く登場することを期待したい。
【画像ギャラリー】ガソリンのインプレッサSTを試乗して改めてわかったスバルの「e-BOXER」の存在意義(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方いくらハイブリッド化しようと、大元のエンジン効率以上にはならない。
ハイブリッド化自体が『エンジン効率最良領域に寄せて使う』事が主目的なのだから当然ではあるけど。
で、水平方向エンジンの効率はというと……な訳で、そう良い数値が出よう筈もなく。
15Kwというと48ボルトの簡易式と同じモーター出力で+51万円は、大した効果もないのに高過ぎですな。