シエンタのデザインは秀逸! スペース効率ならフリード!! コンパクトミニバン2台を辛口評価

■3列目を重視するか非常用とするか?

シエンタの3列目はエマージェンシーと割り切って、大人が長時間乗るのはちょっとキツイ
シエンタの3列目はエマージェンシーと割り切って、大人が長時間乗るのはちょっとキツイ

 2列目シートに座ると、前席背もたれ裏面にUSBポートがありますね。今どきのクルマ、子ともでもスマホやタブレットの電源は必須ですからね。

 2列目シートは座面の前後長がしっかりと長く、座面クッションがソフトなのでお尻が沈み込んでフィット感がいいです。

 シエンタの2列目シートは前後スライドします。最前に出しても、膝前にはこぶし1つ半程度の空間があります。3列目に大人が乗車する際は、このポジションになります。充分座れる広さです。

 エンジンルームのスペースを大きく取っているシエンタでは、3列目はあくまでもエマージェンシーですが、2列目を一番前に出せばギリギリ膝は収まります。

 ただし座面は小さくクッションも薄いので大人が長時間乗るのはちょっとキビシイですが、自宅から近所のファミレスまでみたいな移動だったら充分いけます。

 3列目へのアクセスは、2列目シートの背もたれを前倒させると脚のロックが外れてくるりと起き上がります。2列目を前倒させた状態で3列目はフロアにダイブダウンできる構造なのですね。広くフラットな荷室空間ができます。

 これはうまく考えましたね。開発陣がワイワイ話し合いながら、限られた空間を最大限に活用する知恵を出し合っているのでしょう。

 せっかくいろいろ考えたのだから、三角表示板の収納場所をテールゲート内張部にするなど、もう一工夫ほしかった。

フリードの3列目。座面クッションも厚く、居住性は充分。2列目と同様、実用的な空間だ
フリードの3列目。座面クッションも厚く、居住性は充分。2列目と同様、実用的な空間だ

 フリードのインテリアはひと世代前のホンダ車のデザインですが、悪くはないです。メーターパネルはインパネ上段に配置されていますが、小柄な女性などではむしろ視認性がいいと思います。

 色遣いや造形など、全体的にバランスされていて、まとまり感があっていいと思います。カップホルダーや小物入れも充実しています。

 シートの形状は悪くありませんが、ちょっと背もたれのクッションが硬めです。座面は前後長が長めでいいと思います。

 フリードの2列目シートは前後スライド量が大きいです。最後端まで下げると、足元は広々です。3列目を使わない前提であれば、フリードのほうが2列目スペースは広いです。

■ホンダの「M・M思想」が息づくフリードの車内

右がシエンタ、左がフリード。3列目シートの大きさはフリードのほうが大きいことがわかるだろう
右がシエンタ、左がフリード。3列目シートの大きさはフリードのほうが大きいことがわかるだろう

 3列目へのアクセスは、2列目を最前端にスライドさせて背もたれを前に倒すとスッと乗り込めます。3列目の居住空間は充分余裕があって実用的です。

 3列目シートの座面や背もたれの大きさ、クッション厚さなども充分にあり、大人が長時間座れる3列目シートです。

 3列目の膝前空間をコブシ1つ半以上開く程度の位置に、2列目のシートを配置しても、2列目乗員の膝前スペースには20cm程の余裕があります。室内スペースの作り方はフリードが上手です。

 これはエンジンルームを小さくして、なるべく室内空間を大きくするという、いかにもホンダらしいパッケージングです。

 3列目シートは左右に跳ね上げて収納する構造です。しかも背もたれを前に倒してから脚のロックを解除して、足を手動で畳んで跳ね上げる3アクション。これは結構手間がかかりますね。

 シエンタのダイブダウンのほうが荷室空間は広く使えますが、ホンダはそれよりも3列目シートの座り心地を優先したのでしょう。シエンタの3列目シートは小さくクッションも薄く、やはりエマージェンシーです。

 どちらを優先させるかという、メーカーの商品の狙いの違いで、優劣ではありません。

【画像ギャラリー】コンパクトな車体に効率良く機能を収めたホンダ フリード&トヨタ シエンタ(23枚)画像ギャラリー

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