ワゴンRワイドから始まったソリオの歴史。プチバン市場のパイオニア的存在になっているが、最初はワゴンRを5人乗りに仕立てた「とりあえず作りました」感満載であった。でも2010年に突然のスライドドアで大ヒットに。一体あの時何があった!?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
■ヴェゼル並の販売台数!! ソリオはマジで痒い所に手が届く一台
スズキは軽自動車のイメージが強いメーカーだが、小型/普通車の販売比率も相応に高い。
2023年度上半期(4月から9月)のスズキの販売状況を見ると、国内で売られた新車の18%が小型/普通車だった。
ライバルメーカーのダイハツは親会社がトヨタになるため、小型/普通車の国内販売比率は4%に留まる。これに比べるとスズキは、小型/普通車に力を入れているのだ。
そのスズキの小型/普通車の中で、国内販売台数が最も多い車種はソリオだ。2023年度上半期には、1か月平均で3566台を登録した。ホンダのヴェゼルやステップワゴンと同程度になる。
ソリオが好調に売られる理由は、スズキスペーシアやホンダN-BOXをそのまま大きくしたような小型車サイズのスーパーハイトワゴンになるからだ。
ボディはコンパクトでも天井は高く、4名で快適に乗車できて、後席を格納すると自転車などを積める広い荷室になる。スライドドアも装着している。
その一方でエンジンは直列4気筒1.2Lだから、軽自動車のスーパーハイトワゴンに比べると、エンジン排気量は2倍近くに達する。車両重量も増えるが、1.1~1.2倍に収まるため、動力性能に余裕が生じた。
■全幅がキモ!! ルーミーより小さい横幅がお見事なワケ
ソリオには標準ボディと上級のバンディットがあり、両車ともに全長は3790mmと短い。
全幅は大半の5ナンバー車が規格枠いっぱいの1695mmとするのに対して、ソリオは1645mmだ。トヨタパッソ/ダイハツブーンの1665mmよりも狭い。
そこでソリオの全幅を狭く抑えた理由を開発者に尋ねると「ソリオは道幅の狭い地域で使われることも多く、すれ違いもしやすいように、全幅を1645mmに設定した」と返答された。
そうなるとソリオは、全幅の狭さに魅力を感じるユーザーに人気なのか。販売店に尋ねると以下のように述べた。
「ソリオのお客様には、軽自動車からのアップサイジングと、ミニバンからのダウンサイジングがある。スペーシアなどの軽自動車を使っていたお客様が、長距離を走る機会が増えて小型車に乗り替える場合、全幅の拡大を抑えたソリオは違和感が生じにくい。またミニバンから乗り替えたお客様は、とても運転しやすくなったと喜ばれる。ソリオの狭い全幅による運転のしやすさは、今では伝統になっている」。
ソリオには、ライバル車としてトヨタルーミー/ダイハツトール/スバルジャスティの姉妹車がある。
ルーミーの全幅は1670mmとされ、ソリオよりも少しワイドだ。登録台数はトヨタルーミーが圧倒的に多く、2023年度上半期は1か月平均が6780台だからソリオの約2倍だ。
それでもソリオがスズキの小型車ながら、ヴェゼルやステップワゴンと同程度に販売される背景には、車幅の狭さが生み出す運転のしやすさがある。
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