■名前が二転三転……3回の改名でソリオに
ソリオの過去を振り返ると最初は1997年に、ワゴンRの拡幅版とされるワゴンRワイドとして登場した。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2335mmで、1993年に発売された初代ワゴンRと同じだが、トレッド(左右のホイールの間隔)は前輪側で140mm拡大された。全幅も1575mmだから、当時のワゴンRに比べて180mm広い。
室内幅も155mmワイド化され、軽自動車のワゴンRに比べると、居住性と走行安定性を向上させていた。エンジンも直列4気筒1Lを搭載した。
ちなみに1996年には初代のマツダデミオやダイハツパイザー、1997年には初代トヨタラウム、1998年には初代日産キューブが登場。
背の高いコンパクトカーが増えつつあったが、ワゴンRワイドは価格も安い。100万円以下のグレードも用意され、独自の魅力を備えていた。
1999年には、ワゴンRワイドはフルモデルチェンジを受けて、ワゴンRプラスに発展した。
GM(ゼネラルモーターズ)との技術提携も踏まえて開発され、軽自動車のワイド版ではないが、ホイールベースは2360mmだから2代目ワゴンRと同じだ。
エンジン排気量も1Lで変わらず、運転感覚を含めて、依然としてワゴンRの拡幅版という印象が強かった。
車名は、マイナーチェンジでワゴンRプラスからワゴンRソリオに変わり、さらにワゴンRがはずれて今日と同じソリオになった。
■サイズはマジでちょうどイイ!! 突然のスライドドア採用が奏功
クルマ造りを大きく変えたのは、2010年に発売された2代目ソリオからだ。それまでは外観がワゴンRに似ていて、高い天井と低価格を特徴にしていた。
そこが2代目ソリオは、軽自動車とは明らかに異なるクルマへ発展している。
最も注目されたのは、後席側のドアをスライド式にしたことだ。スズキは2008年にスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンの軽自動車としてパレット(スペーシアの前身)を発売。
ソリオはホイールベースが50mm長く、パレットやワゴンRを含めて軽自動車との共通性はほとんどなくなった。
2代目ソリオは、プラットフォームを新開発して走行安定性と乗り心地を向上させ、10・15モード燃費も22.5km/Lに達した。
内装の質、シートの座り心地も改善され、小型車として満足できる商品力を身に付けた。
その一方で、全長は3710mm、全幅は1620mmだから混雑した街中でも運転しやすい。今日のソリオと同様の特徴を備えたことで、1か月平均登録台数も約3200台に達した。
■今や国内2位の好調っぷり!! 2代目ソリオがターニングポイントだった
ソリオが2010年のフルモデルチェンジで大きく変わった根本的な理由は、スズキの小型車に力を入れる国内販売戦略だ。
かつてのスズキは軽自動車の販売1位メーカーで、国内ではダイハツと激しい販売合戦を展開してきたが、薄利多売のカテゴリーとあって経営的に不利な面も多い。
そこで暦年で見ると、スズキは1973年から2006年まで軽自動車の販売1位メーカーだったが、2007年にはトップをダイハツに譲った。その代わり小型車で力を入れるようになり、2010年に2代目ソリオが登場した。
一連の変化を明確に示したのは、2015年にスズキが発表した中期経営計画の「SUZUKI NEXT 100」だ。
国内の小型車販売:年間10万台以上、軽自動車シェア:30%以上という目標を掲げた。この目標は2016年には早々に達成されている。
2015年に発表された3代目の先代ソリオも、2010年登場のモデルに続いて好調に売られたからだ。軽自動車のシェアも目標通り30%を超えている。
同様の状態が今も続き、2022年には、コロナ禍に見舞われたり半導体の供給が滞りながらも、スズキの小型/普通車登録台数は10万台を超えてスバルを上まわった。
軽自動車の届け出台数もダイハツに次ぐ2位で、軽自動車シェアも30%以上を守っている。
さらにスズキのメーカー別国内販売ランキングは、今ではトヨタに次ぐ2位だ。3位はダイハツ、4位はホンダ、5位は日産になる。
つまりスズキが軽自動車メーカーを脱して、国内2位のスモールカーブランドへ成長するターニングポイントになったのが、2010年に発売された2代目ソリオであった。
【画像ギャラリー】最初はこんな姿だった!! しかもシボレー版も!? ソリオ人気を不動のモノにしたの2代目も写真で(8枚)画像ギャラリー
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