「クルマに乗せると赤ちゃんが泣き止む」。こんな話を耳にすることがあるが、その仕組みを応用したぬいぐるみが登場した。タカラトミーとホンダが共同開発した「Honda SOUND SITTER(ホンダ サウンド シッター)がそれ。なんとNSXのサウンドで赤ちゃんが安心するというのだ!
文/ベストカーWeb編集部、写真/タカラトミー、HONDA
■クルマのエンジン音で赤ちゃんが泣きやむ!?
筆者(編集部ツノダ)の子育て経験からいえば、「クルマに乗せると赤ちゃんが泣き止む」という話はホント。長男が夜中に泣きだしたときは、カミさんと3人でしばしば深夜のドライブに繰り出したものだ。
15分も走ると長男は安心しきった顔になり、チャイルドシートでスヤスヤ眠りについたことを思い出す。
実はそんな効果に着目していた自動車メーカーがある。それがホンダ。2018年には、その理由を解明すべく検証を行い、クルマのエンジン音が、赤ちゃんが母親のお腹の中で聞いていた胎内音に近いということを明らかにした。
驚くのはそれだけじゃない。ホンダが自社のクルマ約30種類のエンジン音を調査したところ、車種ごとにさまざまな違いがあった。その中でもっとも胎内音に近かったのが、2代目ホンダNSX(2018年式)のエンジン音だったというのだ。
まだ続きがある。ホンダがすごいのは、その成果を暮らしに役立てようとしたところ。
実際に小さなお子さんを持つお母さん方の声を聞いてみると、赤ちゃんが泣きだすかもという不安から外出を控えることがあるという。
そこでホンダは、エンジン音を聞かせることで、外出先でも赤ちゃんが落ち着いてくれるような製品が作れないかと考えた。声をかけたのが、トミカやプラレールで知られる玩具メーカー、タカラトミーだ。
■赤ちゃんが泣きだすとエンジン音が鳴るぬいぐるみ!
さまざまな試行錯誤を通じて、両社が生み出したのが、サウンドシッターというぬいぐるみ。赤いフカフカした愛らしいクルマの形で、内部にスピーカーを内蔵している。赤ちゃんが泣きだしたときにこのスピーカーからエンジン音が鳴り、赤ちゃんの気分を落ち着けてくれるという仕掛けだ。
当初、サウンドシッターは非売品という形で公開された。ところが、存在を知った人からは市販を希望する声がたくさん寄せられ、両社は市販化を決定する。実はネットで夏から予約が始まっていたのだが、2023年の10月28日、晴れてサウンドシッターは正式販売をスタートしたのだ。
市販バージョンの進化点だが、まずはぬいぐるみの形が往年の名車S600クーペとなった。赤ちゃんにしてはエンスーなチョイスだが、クルマ好きを育てるという意味でも正解だろう。テール部分には、ホンダのオフィシャルライセンス商品であることを表すタグも付いている。
内蔵されているサウンドユニットには、もちろんNSXのエンジン音を収録。こちらはサウンドヒーリング協会の協力のもと試作を重ねた至極の音らしい。ぬいぐるみの鼻先を押すことで45秒間エンジン音が流れるが、スイッチを押せば途中で止めることもできる。
赤ちゃんのことだから衛生面も考えられた。サウンドユニットは布製のカバーに包まれていて取り出すことができ、これを取り外しておけば、ぬいぐるみ本体は丸洗いが可能だ。
赤ちゃんによって効果には違いがあるとのことだが、内燃機関の音が思わぬところで役に立ったことは喜ばしい限り。我が家の子育て中にサウンドシッターがあれば、深夜のドライブに出かける手間が減っていたのかもしれない。
【画像ギャラリー】やっぱり内燃機関は必要だった!? クルマの「エンジン音」で赤ちゃんが落ち着き寝てしまう「ホンダ サウンドシッター」(10枚)画像ギャラリー
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