紆余曲折の創業90周年……「技術の日産」は強い武器!! EV戦略どうなるの!? 日産の「今とこれから」

紆余曲折の創業90周年……「技術の日産」は強い武器!! EV戦略どうなるの!? 日産の「今とこれから」

 2023年12月26日に創立90周年を迎える日産。経営危機からは立ち直れているのか? 今後の展望はどうなのか!? どうなる日産、やれんのか日産、現在そしてこれからの日産を徹底解剖!!

※本稿は2023年11月のものです
文/井元康一郎、佃義夫、鈴木直也、清水草一、写真/ベストカー編集部、日産
初出:『ベストカー』2023年12月26日号

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■21世紀の日産の経営状態は?

1999年の経営危機だけでなく、2008年のリーマンショックでも打撃を受けた日産
1999年の経営危機だけでなく、2008年のリーマンショックでも打撃を受けた日産

 1999年にルノー傘下に入り、今年ようやく対等出資となった日産自動車。その間の業績の推移はまさにジェットコースターのごとき乱高下というべきものだった。

 もともと日産の稼ぐ力はそこまで低いものではなく、売上高に占める製造原価の割合はトヨタ自動車と大差なかった。経営危機の最大の要因は会社を維持する費用や巨額の借金の利払い。せっかく稼いだ金がことごとく吹っ飛ぶ体質だったのだ。

 カルロス・ゴーン氏は子会社売却による負債の解消、過剰投資だった生産設備の廃棄などの大ナタを振るい、それによって業績は文字どおりV字回復。2003年度から2005年度にかけては自動車メーカーにとってトップパフォーマンスのボーダーラインである売上高営業利益率10%のラインを超えた。

 が、リーマンショックで巨額の赤字を計上したのを境に日産の失速が鮮明になった。

 ゴーン氏は巻き返しを図ろうと2011年、世界シェア8%、売上高営業利益率8%を5年で達成するという「パワー88」という計画を打ち出したが、利益率を回復させることができないまま2018年にゴーン氏は失脚、コロナ禍による赤字転落へと続いた。

 日産が思うように稼げなくなった要因はいろいろあるが、日本メーカー各社が大きな利益を上げる東南アジアに攻勢をかけたものの成功を収められなかったこと、台数を稼ぐためにリースに頼りすぎたことなどが挙げられる。

 その根底にあるのは肝心かなめの商品力が不足していたこと。リース頼みになったのも販売奨励金が膨らんだのも、商品でユーザーのココロを掴めなかったがゆえだ。

 このところ日産は商品力強化に社運を賭けて取り組んでおり、一部では成果も出てきている。この流れをあと3年切らさなければ、本格回復への足がかりを得られるかもしれない。

(TEXT/井元康一郎)

■創立から現在までの日産の動き

 明治時代末の1911年に誕生した自動車メーカー、快進社を源流に持ち、昭和時代の1933年を創業の年としている日産自動車。

 戦後の歴史の中で第一の大きなトピックは1958年、いち早くアメリカに進出したこと。「フェアレディZ」の生みの親で「ミスターK」の異名を取った片山豊氏の辣腕で日本車メーカーがアメリカで認められる素地を作った。

 次は1966年、軍用機メーカー、立川飛行機の流れを汲むプリンス自動車との合併。それを成し遂げたのは日産中興の祖と言われる川又克二社長。「スカイライン」はプリンス自動車の車名である。

 一方で社内では権力争いが絶えなかった。川又氏が寵愛した労働組合のドン塩路一郎、日産生え抜き社長の石原俊両氏の抗争は特に有名で、成長のための貴重な時期であったはずの1980年代に外に向けるべき力を社内で消耗し続けてしまった。

 自らも権力欲の強い人物だった石原氏が打ち出したのが世界シェア10%を目指す「グローバル10」計画。のちにルノー傘下入りする結果を招いた巨額の負債が生まれたのはこの計画が発端だった。

 現在、日産は復活への挑戦の真っ最中。実力的にはきわめて高いものを持ついっぽう、三つ子の魂百までよろしく権力争いの体質は今も残り、経営リスクとなっている。日産のトップとしては異例に融和的といわれる内田誠現社長がそれを払拭できるかどうかも復活の成否を分けるポイントと言えるだろう。

(TEXT/井元康一郎)

次ページは : ■ルノーとの提携関係見直し完了で今後どうなる?

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