紆余曲折の創業90周年……「技術の日産」は強い武器!! EV戦略どうなるの!? 日産の「今とこれから」

■今の日産の技術の強みって?

 日産、ルノー、三菱の3社連合で世界トップを目指す野望もあったが、どうやらこのアライアンスは緩やかに解消に向かう方向。となると、かつてトヨタと覇を競っていた日産も、もはや単体で勝負するのは正直キビシイ。

 全方位でスキのない技術開発に邁進するトヨタに対し、日産は得意な分野に的を絞った技術戦略が求められている。

 その具体的な内容については、2022年に発表された中期経営計画“NISSAN NEXT”が参考になる。

 そこで述べているのは、4輪制御技術e-4ORCE、半自動運転技術プロパイロット、ハイブリッドEV技術e-POWERを、日産独自のコアテクノロジーと規定。グローバルに競争力を発揮できるクルマ造りを目指すとしている。

 ただ、こういう経営計画の文言はいわばタテマエで、似たような技術開発はどこのメーカーでも取り組んでいる。ライバルに対して日産にアドバンテージがあるのはどこ? というのが問題なわけだ。

 このへんはぼくの個人的な意見になってしまうのだが、今日産の技術にアドバンテージがある分野は、バッテリーとそのマネジメント、モーター制御ソフトウェア、プロパイロット、e-POWER用のエンジン技術だと思っている。

 バッテリーというと、全固体電池など目新しい技術が話題になりがちだが、日産が10年以上にわたって蓄積してきたバッテリーのマネジメント技術は、目立たないが大きな価値がある。

 たとえば、電池に起因する火災事故が一台もないという事実など、もっと大きくアピールすべきだろう。

 また、e-POWER用の可変圧縮比ターボも近年のエンジン技術のなかでは特筆すべき傑作だし、レベル2ながら実用性の高い半自動運転を実現しているプロパイロット2も、さらなる普及が望まれる。

 このへんの領域でなら、日産はトヨタと互角の勝負をしていると評価したいね。

(TEXT/鈴木直也)

■JMSで見えた今の日産のデザイン評価

ジャパンモビリティショー2023に出展された、ニッサンハイパーツアラー。次代の日産デザインを示唆する
ジャパンモビリティショー2023に出展された、ニッサンハイパーツアラー。次代の日産デザインを示唆する

 いま売られている日産車のデザインは、可もなく不可もなくっていう感じだよね。Vモーショングリルは結局浸透しなかった。もう統一グリルには新鮮味がないし、バリューも乏しい。今後Vモーションはフェードアウトしていくだろう。

 じゃ、次の日産デザインの核は何になるのか? 今回のJMSでは、それが垣間見えた気もする。

 GT-Rっぽいのハイパーフォースと、エルグランドっぽいのハイパーツアラーはとっても個性的でよかった。どっちも、昔の竹ヤリデッパをモダン化したような、本来とは逆方向に反り返ったデザインでしょ。

 トヨタともマツダともホンダとも全然違う、懐かしいワルの風情、ツッパリハイスクールな雰囲気があって、とても新鮮だった。あれはリーゼントだよ!

 そのほかのSUV系の3台はどこかで見たようなデザインだった。反り返ってないとダメだね! もっともっと反り返りを!

 GT-RがEVになったら「そんなの意味ないじゃん!」って感じだけど、あのカタチならそそられる。だって横浜銀蠅なんだもん! ツッパることだけが日産の未来を切り開くのさ! 実際市販モデルに投影されるかどうかはわかんないけど。

(TEXT/清水草一)

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