「自動車」から「移動の道具(モビリティ)」すべてを対象としたショーへと変容したジャパンモビリティショー。会期11日間での来場者は111万2000人。来場者数だけで判断すれば間違いなく成功だが、内容的にはどうだったのだろうか? ジャパンモビリティショーを総括する。
※本稿は2023年11月のものです
文/鈴木直也、国沢光宏、渡辺陽一郎、片岡英明、清水草一、小沢コージ、ベストカー編集部、写真/日本自動車工業会、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年12月26日号
■ジャパンモビリティショーの評価は?
10月25日のプレスデーから始まり、翌10月26日に正式開幕をしたジャパンモビリティショーが11月5日に閉幕した。
思えば4年前、2019年の東京モーターショーのあと、コロナ禍によって世界が一変した。
2020年に予定されていた東京オリンピックは1年延期されたものの、翌2021年になってもコロナ禍は収束することなく、オリンピックは無観客での開催となった。
この年秋に予定されていた第47回東京モーターショーも開催を見送ることとなった。
さらに振り返れば東京モーターショーが全盛を極めたのは、晴海から幕張メッセへ会場を移した1989年(第28回)から1991年(第29回)だった。
1960年代中盤から来場者数が右肩上がりだった東京モーターショーだったが、1973年以降、隔年開催となる。
オイルショックと排ガス規制問題などにより、自動車に対する風当たりが強くなるとともに、対応策に時間とコストをかける必要が生じたためだ。
しかし、これらが一段落した1980年代中盤以降は、バブル景気を背景に日本車がハイパフォーマンス化に向けて一気に盛り上がりを見せた時代だった。再びモーターショーの来場者は増え、会期も延長され、1日あたりの平均来場者が16万人を超えたのが1989年だった。
しかし、その後入場者数は右肩下がりに減少。2000年代に入ると1日あたりの平均来場者が10万人を下回り、8万人前後で推移する。
2000年代前半までの東京モーターショーは間違いなく世界の3大モーターショーのひとつと認識され、グローバルな影響力を持っていたのだが、2010年代以降はその勢いはなくなっていく。
4年前、2019年の第46回では会場の都合で展示会場が分散されることを逆手にとり、離れた会場間を結ぶ歩道も展示スペースとする新たな取り組みを実施。
これも奏功して久々に130万人というここ10年では最高の来場者を達成。この成功が新たなモーターショー、すなわち今回の「ジャパンモビリティショー」へのシフトを後押ししたのかもしれない。
かくして、「自動車ショー」からモビリティ、つまり移動の道具すべてを対象とした、新時代のショーへとコンセプトチェンジを果たしたジャパンモビリティショー。
実際、どんなショーだったのか? 会期11日間での来場者は111万2000人と、目標の100万人をクリア。会場内の様子を見ても人の多さを実感した。
そこだけで判断すれば間違いなく成功だが、さてジャパンモビリティショーは内容的にも成功だったのか? 総括していこう!!
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