道を譲ってもらった際などに行う「サンキューハザード」は、マナーのひとつとして定着しているが、実はこれは正しいハザードランプの使い方ではない? 今回は、ハザードランプについてもう一度考えてみよう。
文/長谷川 敦、写真/写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ/vachcameraman@ Adobe Stock
【画像ギャラリー】ハザードランプを正しく使って安全確保!!(14枚)画像ギャラリー■非常時を知らせるのがハザードランプ
スイッチを押すと前後左右のウインカーランプが同時に点滅を開始するのがハザードランプ。その存在を知らないドライバーはまずいないと思うが、実際はどんなときに使う機能なのだろうか?
ハザードランプの「ハザード(hazard)」は英語で、日本語にすると「危険」を意味している。
日本では、危険を意味する英語は「デンジャー(danger)」のほうが知られているが、hazardが交通事故などの明確な危険を示すのに対して、dangerはより広い危険一般を指している。
つまりハザードランプは、なんらかの危険を知らせるためのランプということになる。実際、ハザードランプのことを日本語では「非常点滅表示灯」と呼ぶ。
■ハザードランプを使う正しいタイミング
道路交通法施行令には、非常点滅表示灯(ハザードランプ)の使い方について以下の記載がある。
「自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が五・五メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない」(第十八条の二)
「通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない」(第二十六条の三の二)
つまり、一般の車両は夜間に幅5.5m以上の道路に駐停車する際にハザードランプの点滅が必要ということ。これ以外にも、次に紹介するタイミングでハザードランプを点滅させることが多い。
●クルマの故障により路肩に駐車するとき
なんらかの原因でクルマが走行不能になり、路肩に停める際にハザードランプを使用する。これは特に高速道路で有効で、日中であっても後続車に停車を知らせるために点滅させる。
●高速道路で渋滞に追いついたとき
高速道路で渋滞の最後尾に追いついてしまったときや、事故現場に近づいたときにハザードランプを点滅する。これで後続車に自車の減速を知らせる。
●レッカー車でのけん引
故障してレッカー車でけん引されるクルマも、可能であればハザードランプを点滅させて、通常よりも遅い速度で移動していることを後ろのクルマに教える。
●駐車場で駐車するとき
店舗などの駐車場で、特にバックで駐車を行う際にハザードランプを点滅させ、これから後進することをほかのクルマや歩行者に周知させる。
上記のシチュエーションでハザードランプを点滅させるのが一般的だが、これらは道路交通法で定められたハザードランプの使用法ではなく、慣習として行われているものだ。
とはいえ、上記の状況でハザードランプを使っても、すぐに道路交通法違反で検挙されることはないだろう。特に駐車場は私有地であることが多く、通常の道路交通法は適用されない。
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