ジャパンモビリティショー2023で話題になった中国系自動車メーカー「BYD」。日本導入モデル3車種以外に、高級車「テンザD9」、「ヤンワンU8」が日本初公開されたことが記憶に新しい。成長し続けるBYDはどこまで日本含むアジア市場に食い込んでいくのだろうか。
文/大音安弘、写真/平野陽、森山良雄、BYD
【画像ギャラリー】レパードJフェリーと同じ尻下がりがイイね!! BYDシールにD9の全貌を写真で(24枚)画像ギャラリー■ジャパンモビリティショーで話題となったBYDの魅力とはなにか
好評のうちに幕を閉じたジャパンモビリティショー2023(以下、JMS2023)の中で、話題となったブースのひとつが中国の自動車メーカー「BYD」だ。
BYDブースが話題となった理由は、日本展開中のコンパクトSUV「ATTO3」とコンパクトハッチバック「ドルフィン」、来春投入予定のミドルセダン「シール」だけでなく、日本未導入の独自の高級車の出展したことが大きかった。
現在、BYDは、4つのモデル群を展開する。メインとなるBYDブランドでは、中国の歴代王朝の名を冠したモデルを展開する「王朝」シリーズと日本にも導入される海をテーマとしたデザインと名を冠する「海洋」シリーズの二つを展開。
さらに完全独立展開となる高級車ブランド「腾势(デンザ)」と「仰望(ヤンワン)」のふたつがある。
今回のJMS2023では、日本初としてメルセデス・ベンツとの協業で生まれたブランド「デンザ」の高級ミニバン「D9」と、最高潮に位置付ける「ヤンワン」のフラッグシップSUV「U8」が日本初披露され、こちらの2台の注目度が高かった。
BYDジャパンによれば、現時点で導入予定のないモデルを展示することには、最後まで議論があったというが、蓋を開ければ、その試みは大成功と言ってよいだろう。
せっかくお披露目したのだから、将来的な日本導入の可能性について、野心的なコメントがあっても、良かったのではと思う。
しかし、そこにはBYDオートジャパンによる日本での非常に慎重な販売姿勢があり、現時点ではシール以降の導入予定モデルについては明言していない。
ただJMS2023の出展を見ていると、通訳などを含めた人員の配置やブースの設計などは国際モーターショー級となっており、存在感を示すだけでなく、高級車を含めた日本市場へ参入強化を狙うBYD本社サイドの思惑が見え隠れするのも確かだ。
日本のBYD販売網では、2025年末までに全国に100店舗以上の販売ネットワークの構築を目標に掲げている。
現時点(※2023年12月上旬)でオープンしている18拠点に加え、ショールームこそ未整備だが、試乗や購入相談及びアフターサービスに対応する開業準備室が35拠点ある。
会場準備室は、今後、店舗に昇格するから、既に53拠点が確保されたことになる。
JAIAが公表する最新の新車登録台数を確認してみると、11月は166台を登録し、1月からの累計台数は、1237台となっている。
この台数は、年間での輸入車シェアの0.44%に過ぎず、今年登録された新車のフェラーリと同等の実績で有り、最新フェラーリ並みにレアな存在といえる。
ただ実店舗展開と手頃な価格のEVから展開を始めた効果により、同じく電動車専売とする韓国のヒョンデの約3倍の登録実績を上げている。
もちろん、ここには実店舗用のデモカーも含まれるが、実売数も超えていると見られ、着実な足取りをみせているともいえる。その数字だけを見て、日本メーカーの脅威とならないという判断は浅慮といえるのではないだろうか。
コメント
コメントの使い方一見あれっ?トヨタエクスファイア?と勘違いしそうなフロントデザイン
黒船ならぬ赤船は世界各国がターゲットで、日本に注力しているわけではなさそうです。とはいえ、右ハンドルで販売するところとか、車種の展開の仕方とか、かなり日本の市場を研究していて、本気なんだろうなとは思います(ベンツからいろいろと情報を得ているのかもしれません)。今後の動向に注目したいです。