アルファード強敵D9上陸間近!! 中国BYDは日本をどう攻略するのか!? 作戦が衝撃

■BYDのEVバスは、日本メーカーよりも脅威になっている存在だ!

 なぜならば、既に日本メーカーの脅威となっている分野がある。それがEVバスだ。

 日本でのEVバス需要は、まだ限定的だが、政府の掲げる2050年カーボンニュートラルの実現のために、将来的なニーズの拡大が見込まれる。

 路線バスや送迎バスなど特定のルートを走るものは、EVとの親和性も高いためだ。

 2023年10月末までに、153台の大型及び小型バスが納品済みであり、国内のEVバスシェアの7割を超えるとしている。

 さらに11月16日には、日本専用開発となる中型EVバスの販売も発表し、24年1月より受注予約を開始するとしている。

 もちろん、日本のバスを手掛けるメーカーも手を拱いているわけではなく、いすゞ自動車がJMS2023で、フルフラット路線バス「ERGA EV」を世界初公開するなど動きを見せている。

 ただ現時点では、価格面を含め、BYDに大きなアドバンテージがあるのも事実だ。

■タイでは中国系メーカーEV勢力が拡大中!! いっぽうの日本メーカーの立場は? 

 乗用車に話を戻すと、日本の乗用車メーカーがBYDとのしのぎを削るのが、中国本土を含めたアジア地区だ。

 2023年11月末に開幕したタイ・バンコク「モーターエキスポ2023」では、BYDを含め、多くの電動車メーカーが参加。既に現地での販売網も構築が始まっており、多くの来場者の関心を集めていた。

 会期中、日本の自動車メーカーよりも、中国系電動車メーカーのブースの方が賑わうシーンも見受けられたのは、個人的にも衝撃的だった。

 もちろん、それが即販売に繋がるわけではない。

 ただモーターエキスポ2023主催者の発表によれば、会場で行われた商談会では、購入予約の上位には「ホンダ」、「トヨタ」と日本の自動車メーカーが続いたが、3位には、中国の大手「長安汽車」がランクイン。

 全体の38.4%を占めたEVだと、「長安汽車」、「BYD」、「Aion」と中国メーカーが独占している。

 もっとも日本メーカーによるBEVの展開は、グローバルでも限定的なので、当然の結果といえるが、タイの購買層のBEVへの関心の高さは無視できないと感じた。

 現地での情報では、展開車種のほとんどが高価格であるEVの購入者は富裕層が中心。このため、エンジン車との2台持ちが基本だという。

 このため、今後の課題となるタイの充電インフラについても、ユーザーも納得で購入していると見られる。高級感と先進的なスタイル、充実のデジタル機能などが、新しきもの好きなタイ人の心を掴んでいるようだ。

 さらに政府によるEV補助金政策も後押しとなっている。既にGWMは、タイ工場が稼働しており、来年からはBYDも現地生産を開始。

 さらに長安汽車も工場建設を発表しているので、将来的には、より実績にも勢いが増すと見られる。

■気になるBYDの日本市場対策はどうなっていくのか

「ATTO3」、「ドルフィン」はもちろんのこと、来春投入予定のミドルセダン「シール」にも期待が膨らむ
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 もちろん、EVシフトに懐疑的なユーザーも多い日本で、直ぐにBYDが脅威となることはない。ただBYDは、PHEVも手掛けており、乗用車のパワートレインやサスペンションなどの技術も自社開発で行うだけの技術力を培っている。

 さらに近年では、メルセデス・ベンツと協業を図るなど、一流のクルマ作りも学んでいる。BYDの自動車開発の土壌は、着実に育っていると見て良い。

 ただ日本で、BEVの一本足打法で成功を収めているブランドは、テスラだけだ。それは同時にテスラじゃなきゃだめだという魅力があることを意味する。

 その点でBYDは、国産EVに迫る価格面でのアドバンテージこそあるが、まだ積極的に選びたくなる輝きを放っていない。それは、中国市場に軸を置いたクルマ作りの影響もあるだろう。

 ただデンザやヤンワンのように、日本人の視線を集めるクルマも作れるようになっている。

 決して、将来的にBYDが脅威となる日が来ないともいえないのだ。もちろん、優秀な自動車メーカーがしのぎを削る日本で、成果を上げるには並大抵のことではない。

 それゆえ、BYDオートジャパンは、台数を追うのではなく、顧客満足度の優先としている。

 ただ日用品に目を向けると、家電やガジェットの中には、日本で一定のファンを持つ中華ブランドが育っている現実もある。それを決して軽んじてはいけないと思う。

 まずは日本の自動車メーカーが得意としてきたアジア地域で、中国車に負けないことが最重要課題となる。

 時代の最先端を追う中国自動車メーカーと、長年の信頼と実績を持つ日本自動車メーカーの戦いは、まだ始まったばかりなのだ。

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