五感からの情報のなかでクルマの運転時に最も使われるのは視覚。約90%は視覚情報に頼っているといわれている。しかし、視覚は時にはあてにならないことがある。今回は事故を誘発する危険のある錯覚を紹介していこう。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
【画像ギャラリー】運転は目に頼りすぎちゃいけないワケ(9枚)画像ギャラリー■自分の意思とは逆方向にハンドルを切ってしまう……「視覚吸引作用」
人間は、いい意味でも悪い意味でも強く興味を惹かれるものに目が釘付けになってしまう習性をもっている。これは「視覚吸引作用」と呼ばれる現象。
この現象の怖いところは、クルマのウインカーや道路標識、通行人など周囲のものに目が釘付けになると判断力が低下し、無意識に目が釘付けになった対象物に近づいてしまうことだ。その結果、正しいハンドル操作ができずに事故を起こすことがある。
例えば、隣の車線に大型トラックが走っていて、巻き込まれたら怖いと思うとトラックに目が釘付けになり、逆にトラックのほうにハンドルを切ってしまったりすることもある。
恐怖心や警戒心が強くなればなるほど、視覚吸引作用は発生しやすくなるというのが厄介なところだ。
凝視している対象から視線をはずすことが視覚吸引作用による事故を防ぐ唯一の手だて。トラックが迫ってきて怖いと思ったら、あえて視野を広くして、視線を動かして周囲のものを見るようにしよう。
■右カーブは特に要注意! 「曲方指向」
カーブを走る時、左カーブでは左側(内側)が広く、右側(対向車側)の車線が狭く見え、右カーブでは右側(対向車側)の車線が広く、左側(内側)が狭く見える「曲方指向」という錯覚が発生する。
人間は広く見えるほうへ寄っていく性質があるため、無意識に左カーブでは内側寄り、右カーブでは外側寄りにハンドルを切ってしまう。
左カーブで内側に寄りすぎると、バイクや自転車が横にいた場合、接触事故を起こす危険が……。また、内側に崖や土手があったりすると転落事故の危険も高まる。
一方、右カーブで外側に寄る、つまり対向車線側に膨らむのは対向車との衝突事故を起こす危険がある。
一般的に、左カーブの時はセンターラインを、右カーブの時は左白線を意識して運転することが効果的といわれている。
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