国内の自動車メディアでは、荷室の積載量を示す指標としてゴルフのキャディバッグが使われることが多くある。ただし、キャディバッグは積めればいいってもんじゃない。そこで今回は、キャディバッグを安全・安心に積めるクルマの条件を検証したい。
文/藤井順一、写真/トヨタ、スズキ、藤井順一
【画像ギャラリー】キャディバッグを横置きできるクルマをもっと見る(11枚)画像ギャラリー■荷室にキャディバッグを横置きできるほうがいい理由
基本的に、クルマのボディサイズがアップすればキャディバッグの積載性も高くなる。とはいえ、ボディサイズが大きいことと積載性の高さが比例しないことも多々ある。逆に、見た目よりも積載性が高い場合もある。
意外なところでは、スズキの「ジムニー」は後部座席を倒すことで一般的なサイズのキャディバッグを2本横置きで寝かせて積載可能だったりする。
ちなみに、この“横置きで収まる”ことを重視するゴルファーは少なくない。
横置きできない(荷室の幅の狭い)クルマの場合、複数本のキャディバッグを積む際にどうしてもデッドスペースが生まれ、荷物が積みにくくなるためだ。
ゴルフは4名一組でプレーするため、仲間との乗り合いでコースへと向かう際、最大4名乗車で4名分のキャディバッグと着替えなどの荷物を入れたバッグが積載できると使いやすいといえる。
これがバッグを横置きできる荷室を持つクルマがゴルフに適している1番目の理由だ。もちろん、横置きできない場合であってもドライバーやフェアウェイウッドなどの長いゴルフクラブを抜くことで積載することは可能となる。
ただし、クラブハウス前やバッグドロップ(ゴルフコースでキャディバッグを荷下ろしする場所)で、各々のキャディバッグの荷下ろしの際、クラブをバッグに挿し戻す手間や、うっかりマイバッグに戻し忘れてしまったりするといったことは起こりうる。
こうしたことはプレーヤーのストレスにつながりかねない。メンタルスポーツであるゴルフでは、つまらないストレスがスコアを左右することがある。こうしたことを避けるためにもバッグはそのまま積めるほうがいいのだ。
また、コロナ禍以降、自分のゴルフクラブを他者にむやみに触れられることを不快に思う人も増えている。そういったこともあり、本人以外がクラブやグリップに触れないですむなら、それにこしたことはない。もちろん、バッグから抜いたドライバーを積載中に傷つけたり、破損させてしまうことだってありうるのだ。
これがキャディバッグをすっぽり横置きできるクルマのほうがゴルフに適しているといわれるもうひとつの理由だ。
■キャディバッグが横置きできるクルマとは?
一般にキャディバッグのサイズは、口径の長さをベースにした8型(8インチ=約20cm)、9型(9インチ=約23cm)などと表現されるが、長さ(高さ)はバッグのフードを閉じた状態で、最長のゴルフクラブであるドライバーのルール上限である46インチ(約1.17m)が収まるのが基準となっている。
バッグに挿したうえで、キャディバッグの底部やヘッドカバーなどを加えてもクリアランスが確保できる、約1200~1300mm程度の荷室幅を確保したクルマなら横置き積載がしやすくなる。すなわち、ミドルクラス以上のSUVやミニバン、セダンなどが候補としてあがってくる。
ちなみに、ゴルファーからの支持が高いトヨタのSUV「ハリアー」の荷室幅は1265mm、荷室長は985mm。2023年12月発売が終了してしまったが、マツダの7人乗りSUV「CX-8」もハリアーと並んでゴルファーに人気のクルマだった。
CX-8の荷室幅は1480mmあり、3列目シート可倒時の荷室容量は563L、荷室長も1350mm(2列目シート最前端の位置で2列目シートバックまで)に拡大可能。大型ツアーバッグも4本収納できる広大なスペースが生まれる(Boseのオーディオ搭載なしの場合)。
また、兄弟モデルであるマツダ「CX-5」の荷室幅はメーカー数値で1040mm。これはタイヤハウス間の有効寸法のため、キャディバッグ1本ならドライバー入りでも横置き可能。
ただし、複数本では横置きは難しく、コンパクトなスタンド型キャディバッグなら荷室にやや斜めに重ね、トノカバーを外せば積載できなくはない。ただし、クラブの破損を考えると、ドライバーを抜いて隙間なく積載するほうが得策だろう。
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