軽油(ディーゼル)には「凍りにくさ」によって種類があり、寒冷地に出かける際は寒冷地用の軽油を入れる。これはディーゼル乗りの鉄則なのだが、なんとガソリンにも「冬用」があることをご存じだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock(トビラ写真=Kinapi@Adobestock)、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】軽自動車に「軽油」を入れちゃダメよ!(5枚)画像ギャラリー■ガソリンの「気化しやすさ」を夏冬で使い分けている
軽油は、販売されている地域によって異なるということをご存じだろうか。
実は軽油は意外と凍りやすい(正確には凍るのではなく凝固してしまう)。たとえば東京で売られている2号軽油は、-5℃で目詰まりし始め、-7.5℃で流動性を失うといわれる。
そこで東北や北海道といった寒冷地では冬になると、3号や特3号と呼ばれる「凍りにくい軽油」を売る。「軽油は現地で入れろ」と言われるのはそのためだ。
しかしこうした気配りは軽油だけかというとそうではない。実はガソリンにも、「冬用」と「夏用」が存在するのをご存じだろうか。
ガソリンが凍る凝固点は、-90~-95℃というから、自然界ではほぼ凍る心配はない。ではなんで冬用ガソリンがあるのか。答えはガソリンの「揮発しやすさ」にある。
ガソリンの揮発しやすさは、「蒸気圧」と呼ばれる指針で測る。蒸気圧が高いほどガソリンは蒸発しやすいことになるのだが、蒸気圧が高すぎても低すぎても不都合が生じる。
たとえば蒸気圧が高すぎると、ガソリンを貯蔵や運搬する際に損失が起きやすいうえ、クルマの燃料ホース内部で気化したガソリンが泡となって燃料の流れを阻害してしまうべーパーロックという現象が起きる。
反対に蒸気圧が低すぎると、エンジン内部に気化したガソリンが溜まりにくいことになり、クルマの始動性が悪くなる。
日本工業規格ではこうした不具合をなくすため、市販ガソリンの蒸気圧の範囲を決めているのだが、一般に夏の暑い時期は蒸気圧が高くなりやすく(=気化しやすく)、冬場の寒い時期は蒸気圧が下がりやすい(=気化しにくい)。
そこで夏場には蒸気圧が低めの夏用ガソリンを用意し、冬には蒸気圧が高めのガソリンを流通させ、使い勝手を高めているというわけだ。
夏用ガソリンと冬用ガソリンの入れ替え時期だが、だいたい10月と5月に行われているようだ。軽油と違って、ガソリン車のドライバーは特段「冬用」「夏用」を意識する必要はないが、特別暑い日や寒い日には、頑張っている愛車のことを思い出してもいいかもしれない。
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