デビュー当初の評価は決して低くないものの、いまいちブレイクせず一世代で終わったクルマたち。だけど、時を経て改めて見ると「イイじゃない!?」と思える車種もある。生を受けて20年が経ち、大人になった2004年生まれの激シブカーを紹介する。
文/木内一行、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ
【画像ギャラリー】通好みの激シブカーたちをもっと見る(14枚)画像ギャラリー■クラスを超えたインテリアはまさに日本人好み【日産 ティーダ】
1960年代から活躍し、40年近くも日産の屋台骨を支えてきたサニー。そんなレジェンドモデルに代わり、新たなベーシックカーとしてデビューしたのがティーダ。
見た目は造形の凝ったヘッドライトや短いオーバーハング、ロングルーフなどを特徴としつつも、コンパクトカーとしてそれほど目新しさはない。しかし、最大の特徴は「高級なインテリアとクラスを超えた居住性」だった。
ボディサイズこそ一般的なコンパクトカーと同等だが、室内はゆったりとくつろぐことができる大型セダン並みの有効室内長を確保。さらに、後席は240mmのロングスライドが可能で、これによりシーマを超えるニールームを実現した。
広さだけでなく、高い質感もポイント。メタリック調の加飾や触感と柔らかさにこだわった各部のパッドやトリム、素材やステッチにまでこだわった大きなサイズのシートを採用し、従来のコンパクトカーを超えた高級なインテリアに仕立てられている。
また、上級車の仕様を取り入れたサスペンションから生み出される、優れた操縦性と快適な乗り心地も評価が高かった。
ティーダはベーシックカーなだけに、存在自体は地味。しかし、そんなイメージをよそに、乗ってみればその素晴らしさがわかる、実にツウ好みの一台なのである。
■唯一無二の大開口で利便性バツグン【トヨタ アイシス】
今やミニバン大国となっている日本。そのなかで各メーカーはライバルからアドバンテージを得ようと試行錯誤しているわけだが、ニューカマーのアイシスはユーティリティ性で勝負した。
目指したのは「アクセスとスペースの革新」で、これを実現するために採用されたのがパノラマオープンドアだ。
前年デビューのラウムにも搭載された新機構で、センターピラーを助手席側ドアに内蔵することによって1890mmという大きな開口部を実現。この恩恵は前後のドアを開けないと受けられないが、乗降性と積載性は大幅に向上。アピールポイントとしては充分だ。
さらに、助手席は前方に折りたためるタンブルシート、2列目はクッションチップアップ機構、3列目はトヨタ初の後方床下収納機能と、各シートに利便性を高めるギミックを採用。広い開口部とともにフレキシブルに使える空間も手に入れたのである。
このような画期的なユーティリティ性を特長としながら、プロポーションは一般的なミニバンのような腰高感もなく、スタイリッシュな雰囲気。エアロパーツ装着グレードもラインナップし、幅広い世代に対応していた。
乗用車の雰囲気を持ちながら、既存のモデル以上にミニバンのメリットを受けることができる一台。それがアイシスだったのだ。
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