そこに存在意義はあるのか!? 「なんちゃって装備」3選

そこに存在意義はあるのか!? 「なんちゃって装備」3選

 数あるクルマの装備のなかでも「果たしてコレはホントに必要なのか?」と思えるものもある。そんな“なんちゃって装備”をピックアップし、その必要性や実際の使い勝手などを見ていこう。

文/長谷川 敦、写真/スバル、トヨタ、ホンダ、Newspress UK、写真AC

■なんちゃって装備にもいろいろある!?

そこに存在意義はあるのか!? 「なんちゃって装備」3選
現行型ホンダ シビックタイプR。フロントグリルには大きなエアダクトが設けられていて迫力満点だが、実際に冷却部品に空気を導く穴はそこまで大きくない

 今回は、実用性がありそうで実はない、あるいはなくても特に問題にならない装備を考えていくことにするが、前者と後者は似ているようで異なる。

 実用性がないにもかかわらず装着されている装備は、見た目のよさのみを目的にしているのに対し、なくても大丈夫な装備は便利になると思って採用されたのに、実際にはそこまで“使いようがなかった”ものだ。

 もっとも、見た目用の装備も、見栄えをよくするという実用性があるともいえるのだが……。

 ということで、次の項からは代表的ななんちゃって装備をピックアップし、その存在意義を考えていくことにしたい。

■ルックス100%特化のエアロデバイス

 まずはクルマの外観をアップデートするダミーエアロデバイスを紹介していきたい。

 もちろん、ダミーエアロデバイスには前述のように車体の見た目をよくするという立派な効果があるのだが、本来はボディの空力&冷却性能を高めるのが目的のパーツのはずなのに、有効なのはルックスだけというのがまさに“なんちゃって”の真骨頂といえる。

■フロントエアダクト

 スポーティなクルマのヘッドライト回りに設けられた空気取り入れ口がいわゆるエアダクト。エアダクト本来の目的はエンジン冷却水を冷やすラジエターや、ブレーキの冷却用エアをとり入れるためのものだが、実は多くのクルマのフロントエアダクトがダミーなのをご存じだろうか?

 多くのダクトを装備していると、クルマの外観は厳ついものになり、いかにも速そうな雰囲気を見せてくれる。

 しかし、高速で走行するためにエンジンやブレーキも大きく発熱するレーシングカーならいざ知らず、公道を走行するクルマにはそこまで大きな冷却口は必要ない。

 つまり、フロントエアダクトの多くがルックスをよくするためのダミーであり、実際には穴が開いていない。

 当然ながらラジエターに空気を導くための穴も開けられているが、本当の開口部とダミー部分がシームレスにつながっていて、より大きな開口部に見せているクルマも多い。

■エアアウトレット

 2019年に復活して注目を集めた現行型トヨタGRスープラ。このクルマのフロントフェンダー後方にはエンジンルーム内の熱気を排出するためと思しき開口部(エアアウトレット)がある。

 しかし、これはまったくのダミーで、エンジンルームとはつながっていない。

 だから見た目100%装備なのかというとそうでもなく、ここはレース仕様に改造されたスープラでは本当のアウトレットとして機能するのかもしれない。

 市販車ベースのレースカーではボディの改造範囲も規制されることがあり、公道用モデルでもあらかじめダミーのアウトレットを設けているということだ。

 ちなみに市販型スープラのリアタイヤ直前にあるスリットもダミーだが、アウトレットと同様の理由で設けられている可能性もある。

■リアディフューザー

 レーシングカー、特にタイヤがむき出しになったフォーミュラカーの後方下部に装着されているのが、床下の空気を引き出すためのディフューザー。

 ディフューザーは空気を拡散させて底部の圧力を下げ、車体を路面に押し付ける(=ダウンフォース)効果を持っている。コーナリングスピードをアップするのに高い効果を発揮するディフューザーは、レーシングカーにおいて50年近い歴史を持つエアロデバイスだ。

 そして昨今は市販車の多くに同様のディフューザーが装着され、いかにも効きそうな雰囲気を醸し出している。

 だが、ここまで紹介してきたほかのデバイスと同様に、市販車のディフューザーは空力的な効果を発揮しないものも多い。

 ただし、充分な空力性能を発揮するディフューザーもあってパッと見ではそうでないものとの判別がしにくい。それだからこそ、ダミーディフューザーを装着する意味もある。

次ページは : ■排気管だけど排気を助けない?

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