RX-8 パジェロミニ サンバー ブレイド……10年前の日本車はこんなに面白かった!! 2012年の「消えていったクルマたち」10選

■軽自動車界のメインストリームになれなかった…… ホンダ ゼスト(2006年3月~2012年11月)

ホンダ ゼスト(2006年3月~2012年11月)。ホンダの軽自動車はNシリーズが大ヒット中。ゼストの開発者は心中複雑なものがあるはず
ホンダ ゼスト(2006年3月~2012年11月)。ホンダの軽自動車はNシリーズが大ヒット中。ゼストの開発者は心中複雑なものがあるはず

 ホンダは2006年、3つの国内販売系列を統合してホンダカーズに移行しました。

 プリモ店の専売だった軽自動車を全店が扱うようになり、旧クリオ/ベルノ店は都市部に多い。そこで都市向けの上級軽自動車として、ザッツの後継となるゼストを2006年に投入。

 ベースは先代ライフ。厚みのあるフロントマスクで存在感を強め、後席は小さく畳めます。上質感と荷室の優れた使い勝手を両立させました。

●生産中止理由

 ゼストは欠点だらけでした。後席は小さく畳める代わりに座面が短く、ウィンドウの下端が高いので視界も悪い。運転感覚は腰高で、価格は割高でした。

 しかも当時のホンダは軽自動車に力を入れず、2007年にはフィットが現行型へ一新。ゼストの販売は低迷しました。その後、ホンダは軽自動車を見直しましたが、N-BOXを皮切りに新たなプラットフォームとエンジンを採用し、車種構成も刷新。ゼストは行き場を失ったのです。(生産台数:26万8663台)

■トヨタ パッソセッテ(2007年12月~2012年2月)

トヨタ パッソセッテ
トヨタ パッソセッテ

 トヨタ最小サイズのミニバンだったが、スライドではなくヒンジドアだったこともあり販売は低空飛行。シエンタの継続販売もあってか、4年半の短い生涯を終えることに。ダイハツ版ブーンルミナスもともに昇天。(生産台数:約1万9000台)

*   *   *

■古い車名が消える利点と欠点

「ティーダ」の名前が消えたラティオ。中国で先行発売されており、海外ではヒット車種に
「ティーダ」の名前が消えたラティオ。中国で先行発売されており、海外ではヒット車種に

 日産はセドリック&グロリアをフーガに変え、サニーはティーダをベースにしたティーダラティオになった。そのティーダも消滅し、ブルーバードまでシルフィに変えている。

 新しい車名を採用する理由は過去との決別。サニーやブルーバードでは、従来型のイメージを引きずる。それが販売面で不利になると判断し、新型車には新しい車名を与える。従って販売の好調なセレナ、モコ、ノートなどは車名を変えない。不振の車名だけが捨てられる。

 バネットセレナがセレナに、ロゴがフィットに変わった時のように、時代に即した好調に売れる新型車なら、車名を変えるメリットも生きてくる。

 しかし、代替え需要の比率が高い場合は逆効果だ。ノートはティーダの顧客を継続すべく最上級のメダリストを設けたが、むしろ国内版ティーダとして独立させるべきだった。

 ブルーバードの消滅は、日産として、日本の自動車会社として間違いだ。1935年に生産を開始した日産のダットサンは、日本初の本格量産乗用車。このモデルが第二次世界大戦を挟んでダットサン210型に発展し、1959年登場の310型でブルーバードの車名を得た。

 日産が国内で自社ブランドを高めたいなら、伝統のブルーバードを人気車に育てる。その廃止は、日産が国内市場の放棄に向かう予兆だと思える。(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

「ブルーバード」の名前が消えたシルフィ。街中で見かけてもラティオと見分けがつきません
「ブルーバード」の名前が消えたシルフィ。街中で見かけてもラティオと見分けがつきません
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