決算の数字は良好に見えるんだけど……お家芸のディーゼルも電動化には抗えなかった! 販売台数が伸び悩むマツダの苦悩

■マツダ3の存在感が薄いのはどうしてなのか?

SUVブームの今、Cセグハッチバックは売り方が難しい。街で見かけるとハッとするほどかっこいいのだが……
SUVブームの今、Cセグハッチバックは売り方が難しい。街で見かけるとハッとするほどかっこいいのだが……

 マツダ3の主力は5ドアのファストバックだ。このカテゴリーにはインプレッサやカローラスポーツもあるが、プリウス以外は販売が低調だ。

 インプレッサも登録台数の約70%を共通のボディを使うクロストレックが占める。日本では5ナンバーサイズのコンパクトカーが人気で、3ナンバー車のハッチバックは売りにくい。特にマツダ3は、運転感覚は優れているが後席が狭く、価格は割高で低迷する。

■CX-60が期待ほど売れていないのはなぜ?

サイズのわりに後席がCX-5と同等なのは厳しいところだ……
サイズのわりに後席がCX-5と同等なのは厳しいところだ……

 CX-60は後輪駆動の新しいプラットフォームを使ったSUVで2022年に登場した。それなのに2023年の登録台数は2017年に発売されたCX-5を下まわる。新型車なのにCX-60が売れない背景には複数の理由がある。

 その筆頭はCX-5と比較されること。CX-60の全長はCX-5よりも165mm長いが、後席の足元空間など車内の広さに大差はない。CX-60は直6エンジンを縦置きにするため、ボンネットが長いからだ。

 外観のカッコよさや後輪駆動の優れた走行性能を重視するならCX-60の魅力も際立つが、そうでない場合はCX-5が合理的な選択になる。またCX-60の全幅は1890mmとワイドだ。CX-5も1845mmに達するが、駐車場に入れた時の乗降性などは45mmの違いが使い勝手に影響を与える。

 価格帯も高い。CX-5なら2.2Lクリーンディーゼルターボを搭載する355万8500円のXDブラックトーンエディション2WDでも充分に満足できるが、CX-60は異なる。Sパッケージ以下のグレードは、インパネ周辺の上質感が乏しい。

 そうなると選択の対象は中級グレード以上で、CX-60に3.3Lクリーンディーゼルターボを搭載したXD・Lパッケージ2WDは422万4000円だ。CX-60の実用性はCX-5に近いが、価格帯は70万円ほど高く、売れゆきも低迷している。

■なぜマツダはコンパクトカーで稼がないのか?

登場から10年目。さすがに現行型を売り続けるのは厳しいのでは?
登場から10年目。さすがに現行型を売り続けるのは厳しいのでは?

 各メーカーともコンパクトカーの販売は好調だが、マツダ2は伸び悩む。2023年の登録台数は、CX-5とCX-30を下まわり、国内で販売されたマツダ車の3位だった。2023年の1カ月平均登録台数は約1700台だから、ヤリス(ヤリスクロスやGRヤリスを除く)の約22%に留まった。

 マツダがコンパクトカーで稼げない理由は、車種がマツダ2に限られるからだ。コンパクトカーには運転のしやすさ、広い車内や使いやすい荷室、燃料代や価格の安さなどが求められる。

 ところがマツダ2はほとんど該当しない。全長は約4mで小回りの利きもいいが、サイドウィンドウの下端を後ろへ大きく持ち上げたから斜め後方の視界は悪い。外観がスポーティに見えて、ユーザーによっては運転しにくく感じる。

 後席は狭く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシの半分程度で膝先空間は握りコブシ1つ分だ。フィットの膝先は握りコブシ2つ半だから大幅に狭い。

 価格もベーシックな15BDに運転支援機能などを装着してライバル車と条件を合わせると180万7300円だ。センターディスプレイも加えると約192万円になる。走行性能はコンパクトカーの最高水準だが、このカテゴリーのニーズに合っていない。

次ページは : ■CX-3は、なぜここまで落ち込んでしまったのか?

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