「アリア」や「サクラ」が注目される日産のバッテリーEVだが、国産バッテリーEVのパイオニアである「リーフ」の存在も忘れてはならない。現行リーフは2017年9月に登場した2代目。先日、2024年の現行リーフの補助金が発表され、2023年度と同じ85万円となることが明らかとなったが、デビューから6年が経過していることから、そろそろフルモデルチェンジが期待される時期だ。はたして、次期リーフはどういった姿になるのか!?? 予想してみよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、RENAULT
次期リーフはクロスオーバーSUVになる!!
直近の日産の動向を確認しておこう。2023年8月、日産はラスベガスで行われた全米日産ディーラーの年次総会において、将来の北米日産の事業戦略や、近々投入予定の新型モデルの概略を発表、その中で、ミドルクラスサイズの新たなバッテリーEVの概要を予告している。参加者によると、その際、2021年11月に日産が発表したコンセプトカー「チルアウト」に極めて近いシルエットが確認できたそう。
また2023年秋に開催されたジャパンモビリティショー2023の日産ブースでも、バッテリーEVのコンセプトカーが登場していた。GT-R風とエルグランド風のコンセプトカーが注目されていたが、他にもコンパクト、ミドル、ラージクラスの3台のクロスオーバーSUVタイプのバッテリーEVのコンセプトカーもあった。これらコンセプトカーで用いられていた、水引デザインや折り紙模様などの和のデザインテイストは、将来の日産車のデザインに取り入れられていくのは間違いない。
さらに日産は、2023年11月、イギリスで行われた欧州市場における日産の電動化戦略の説明の場において、イギリス・サンダーランド工場を拠点として、新型バッテリーEVの開発やバッテリー生産、インフラ整備事業などへ最大30億ポンドを投資すること、そして「ジューク」と「キャシュカイ」のバッテリーEVモデル、そして、新型のリーフの3つのバッテリーEVを投入する旨を発表している。これらは、3つのコンセプトカー、「ニッサン ハイパーアーバン」、「ニッサン ハイパーパンク」、「チルアウト」にインスパイアされたものになる見通しだそう。これらの欧州市場向けモデルは、3つともイギリスのサンダーランド工場で生産されるそうだ。
2023年8月の全米日産ディーラーの年次総会で発表された新たなバッテリーEVのシルエットについては、おそらく「イメージ」としてたまたまチルアウトの画像を用いただけであろうが、欧州市場での電動化戦略をみても、やはり次期リーフはクロスオーバーSUVタイプになる線が濃厚だろう。そのうえで、アリアやオーラのように、和テイストが盛り込まれ登場するのでは、と思われる。
コストを抑えるため、ボディサイズは縮小してもよいのでは
冒頭で触れたように、デビューから6年が経過した現行リーフ。昨今は6年でフルモデルチェンジをするクルマは少ないが、リーフは売れ筋になるべきCセグメントのモデルであり、かつより先進性が求められるバッテリーEVであることから、決して古さを感じさせてはならない。次期リーフは、アリアにも使ったEV専用プラットフォーム「CMF-EV」の兄弟車として、2024年~2025年には登場するのでは、と筆者は考えている。
では、次期リーフはどのような姿になるのか。Cセグメントであるリーフは、「誰でも買い求めやすい量販価格に抑えて、たくさん買ってもらうこと」が重要な役割。そのためには、無駄は割り切っていくことが必要となる。
たとえば、ボディサイズは縮小してもよいのではないだろうか。現行2代目リーフは、全長4480mm×1790mm×全高1560mm、ホイールベースは2700mmと、比較的大きめのCセグメント。これを少し縮小し、全長4300mm程度にまで短縮すれば、欧州専売の2代目ジューク(全長4210mm)や3代目キャシュカイ(全長4420mm)と車体やシャシー、ハーネス(配線)などのプラットフォームパーツを共用することができる。また、セグメントの違いこそあれ、数字上の差が小さいアリア(全長 4595mm×全幅1850mm×全高 1660mm、ホイールベース2775mmで、ぎりぎりDセグメント)との差別化を図ることも可能だ。
エクステリアデザインについては、アリアの弟分的な方向性でまとめてくるだろうが、タイヤサイズは標準17インチ程におさえ(大径になるほどタイヤとホイールのコストは上がり、重量もかさむ為)、フェンダーやタイヤ周辺のデザインで大径に見えるように工夫したいところ。たとえば、2017年に日産が発表した「NISSAN IMx」のように、フェンダー周りのブラックアウト化やホイールデザインで対処したい。内装は、Bセグメントのオーラの水準にアップデートすることは必須だ。Bセグのオーラよりも安っぽい2代目リーフのインテリアクオリティは、もはや我慢ならない。
駆動用バッテリーは、最新鋭の全個体電池といいたいところだが、コストを考えれば、2代目リーフと同じく、容量40~62 kWhのリチウムイオン電池で、航続距離322~450km(WLTCモード)に落とし込むのが妥当だろう。ただし、アリアと同じく、90kWクラスの急速充電器への対応は必須だ。
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