アイツさえいなかったら……ってなことはよくありますが、じつはクルマの世界にも。その筆頭が日産 ルネッサでクロスオーバーSUVだったのだが、車内はミニバン並の広さ。それでいて高級な仕上がりだったのだが、デビュー直後に大型モデル「ハリアーさま」が投入。それによって渾身のルネッサは1代で終売に……。
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■ほぼハリアーとコンセプト一緒!! 先読みしすぎがアダに……涙
ここ数年、圧倒的な人気を誇っているジャンル、それがクロスオーバーSUVだ。
ハッチバックボディの使い勝手はそのままに高めの車高と大径タイヤで運転もしやすく、ハッチバックよりも生活感がなくコンパクトなモデルでも引け目を感じにくいなど、メリットが多く存在するため、この人気は今後も続いていくことだろう。
そんなクロスオーバーSUVの中でもひと際人気の高い“高級クロスオーバーSUV”の元祖と言われているのが、1997年12月に登場したトヨタ ハリアーであることはご存じの通り。
だが、それよりも一足先に非常に近いコンセプトのモデルが登場していたのだ。
■EVに燃料電池タイプも!? 90年代の日産はやっぱイケイケだったのよ
そのモデルが、ハリアーが登場する2か月ほど前に登場した日産ルネッサである。
「パッケージ ルネッサンス、車輪の上の自由空間」をキャッチコピーに登場したルネッサは、マルチアメニティビークルと称し、セダンの乗り心地、ステーションワゴンの積載性、ミニバンの解放感をミックスしたモデルとアナウンスされていた。
当時は一応ステーションワゴンに区分されていたものの、高めの車高やルーフレールを備えたSUV的な雰囲気も持ち合わせていた。
2800mmという長いホイールベースを活かして後席には570mmものロングスライドを備えるなど、圧倒的なレッグスペースを実現していた点も特徴だった。
また当初からEVモデルを設定する前提で開発がなされており、1998年にはリチウムイオン電池やネオジム磁石同期モーターなど、のちのリーフにも繋がる技術が採用されていたほか、非接触充電システムといったものまで搭載。
さらに翌年にはルネッサEVをベースに燃料電池自動車(FCV)の実験車を制作するなど、かなりチャレンジングなモデルとなっていたのだった。
■S13シルビアと同じエンジン!? 本気のターボ仕様も!!!!!
またSR20DET型ターボエンジンと搭載した「GTターボ」や、オーテックが手掛けたエアロ仕様の「AXIS(アクシス)」など、カタログモデルでも幅広いラインナップを持っていたルネッサ。
だが、当初からEVモデルを追加する前提で設計していたことで、床下にバッテリーを搭載するために高床式となっていて、見た目以上に室内空間が狭かったこと。
そしてほどなくしてハリアーが登場したこともあって販売は低迷。結局登場からわずか4年で終売となり、実質的な後継車種も登場することなく現在に至っている。
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