優れた機動性や高い耐久性などが高く評価され、世界中で支持されているランクルシリーズ。そのなかでもヘビーデューティの70系の人気は別格で、いまでも多くのファンに愛されている。今回はそんなランクル70を改めて考察してみよう。
文/木内一行、写真/トヨタ
■初代BJ型の流れを汲む元祖ランクル
ランクルシリーズは70年以上の歴史を誇るだけあり、これまでに発売されたモデルも実に多い。1951年にデビューしたBJ型と呼ばれる初代は、あくまでも軍用車向けに計画されたモデルだった。
しかし、1955年に登場した20系は民間用として使用されることを前提に開発。その後継となる40系は1960年にモデルチェンジし、世界各国で高い評価を獲得。24年に渡って販売されたロングセラーとなった。
そして、万能で丈夫というランクルのストロングポイントはそのままに、より乗用車的な雰囲気を盛り込み、快適性を高めたのが1984年に発売された70系だ。エクステリアは40系のイメージを継承しつつ一新。インテリアも居住空間を広げつつ、実用性も高められた。
ボディバリエーションはバン、ソフトトップ、FRPトップをラインナップ。そして、ランクルシリーズ屈指のベストセラーに成長したのである。
■70系の進化とワゴンモデルの登場
一方、当時はスキーやキャンプなどのアウトドアが人気を集めており、そういったレジャーユースの増加に対応するべく1985年にニューモデルが投入された。それが「ランドクルーザー・ワゴン」だ。
70系のバン・ショートボディをベースに、2.4Lディーゼルターボエンジンを搭載し、新設計のコイルスプリング式サスペンションを採用。
さらに、後席の位置を後退させてリクライニングシートも装備。これらにより、力強い走りとともに、快適な乗り心地と優れた悪路走破性の両立、後席の居住性向上も実現した。
そして1990年には、「プラド」のサブネームをつけて70系から分離。より都会的なスタイリングを特徴とし、3ドア2列シート5名乗りだけでなく5ドア3列シート8名乗りも設定。ライトデューティ路線へ舵を切るとともにマーケットのより広いニーズに応え、販売を伸ばしていったのである。
プラドはこの成功を機に、2代目ではさらに乗用車的な性格にシフト。とはいえ、ランクルの本質である優れた走破性や丈夫さは持ち合わせており、「手軽に乗ることができるランクル」としてヒット。その後の世代も安定した人気を獲得している。
■ファンの声に応えた再販モデルは時代に合わせて進化
2004年に国内での販売を終了した70系だが、国外での需要も高く、海外専売車として生産を継続させていた。そして、国内での復活を熱望する声に応えるべく、2014年に誕生30周年を記念し、1年間の期間限定車として復活した。
内外装は時代にマッチするようリメイクされたが、70系らしさは健在。伝統のラダーフレームを採用し、バンのほかにダブルキャブのピックアップをラインナップ。
その一方、4LV6のガソリンエンジンと5MTの組み合わせのみという思い切った仕様で話題をさらった。
そして2023年11月、70系が三度目の復活。高剛性ラダーフレームを採用していることはこれまでと同じだが、電動デフロックやビークルスタビリティコントロール、アクティブトラクションコントロールやヒルスタートアシストコントロールといった先進の電子デバイスを積極的に採用。
パワートレーンも、2.8L4気筒直噴ディーゼルターボエンジンにシーケンシャルシフトマチック付きの6ATを組み合わせ、力強い走りとともに低燃費を達成するなど、環境規制にも対応している。
ルックスも70系らしさを保ちつつ現代風にアップデート。30周年記念モデルでは角形だったヘッドライトはLEDを用いた伝統的な丸形に変更され、水平・直線基調のシルエットも継承。時代に合わせて進化し、新たな70系のスタイルを作り上げたのだ。
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