■想像以上に苦戦している米国EV販売
政権交代に伴う電動化への政策混乱は一時的なものと考えるべきなのでしょう。
3~4年遅れることになっても、2035年MYには過半数の新車はゼロエミッション車に移行していくことになるでしょう。短期的にEVシフトが停滞しても、10~15年の時間軸で考えれば、「もしトラ」リスクが未来を大きく変えることはないと筆者は考えます。
米国における電動車市場は今年2月にハイブリッドがEVを上回り、最大の電動パワーユニットとなりました。昨年夏以降、予想以上にEV需要は陰っています。在庫とインセンティブはウナギ登りの状態です。
2024~2025年にかけて、米国のEVシフトの停滞が避けられません。しかし、もっと使いやすく、廉価で、かつ魅力的なユーザー体験を提供できるEVのイノベーションをもたらそうと試みるテスラのような新興勢力は、今も努力を惜しんでいないのです。
テスラが先にブレークスルーすれば、現在の中国市場での日本車メーカーの苦悩が米国市場でも再現されることになりかねないのです。EV新興メーカーが苦戦している今こそ差を詰め、キャズムの先へいくチャンスが日本車メーカーに訪れていると考えるべきです。
●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数
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