ネオクラシックカーの海外流出、中古車価格高騰、13年超の税金割増し。日本のクルマ文化は今後どうなっていくのか? いい加減にしてほしい! なぜこうなったのか考察してみる。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部
■日本のネオクラシックカーはの日本からこのままいくと亡くなってしまう
ここ10年ほどだろうか。中古車検索サイトではASK(価格応相談)表示が異常に増えた。中古車販売店に「なぜASK表示」をするのか聞いたことがあるが、「海外からのバイヤーが多く、電話での問い合わせになるべく応じたくない」、「そのクルマの年式、走行距離、程度を含め、価格を出してしまうと他店がそれを見て値段を上下させるので出したくない」、「中古車相場の乱高下が激しいため、ASKにしたほうが、他店にもわからないし、電話対応のほうが購入本気度がわかる」といった声を聞いた。
50代以上のおじさんが若い頃乗ったことのあるクルマ、例えばFD3S型RX-7最後の限定車「スピリットR」が1500万円オーバー、GX71型マークIIが200万円オーバー、20系2代目ソアラが400万円オーバー……と聞くと、「もういい加減にせいや、買うやつおるんか~」と怒鳴り散らしたくなる。
中古車屋にもその要因はあるように思う。車庫に長年置いてあっただけの本来ならば貴重でもなんでもない車種が、今存在しているだけという理由(?)で、べらぼうな値札を掲げているケースもあるからだ。
本来、相場はあってないようなものだが、「売れれば儲けもん」とばかりに、昔はこんなクルマ見向きもしなかったのに、なぜこんなに高いのか、と呆れてしまうことも多々ある。例え話になっていないかもしれないが、スカイラインR30型のRSやRS-X、GT-EX、GT-ESではなく、安いグレードで角テールのTIも釣られて上がるというケースがそれだ。
では高騰の原因はなにか? 最も大きな要因といわれているのが、アメリカ合衆国(NHTSA)が決めているいわゆる「25年ルール」がある。製造から25年が経過したクルマであれば、右ハンドルも認めていない保安基準から除外され、クラシックカー扱いとなり、関税や排ガス規制が除外されるのだ。
この25年ルールによって、日本の中古車市場にあった、貴重なクルマ(当時はあまり貴重という認識がなかったが)が持っていかれてしまったわけだ。
2年に1回の車検制度などしっかり整備する日本の法制度のもとでは、10万km以内の程度のよいクルマが多い(逆に10万kmを超えると極端に価格が下がる)という背景もある。
■旧車を大切にしない日本車の自動車関連税制
今年も4月1日付で所有している人に課せられる自動車税納付書が届く季節になってきた。貴重な日本車が流出するのは自動車の税負担が海外に比べて大きい日本にも原因があるのだ。平成27年5月から始まった、年式の古いクルマの税金を重くする重課税制度があるおかげで、13年超のクルマを手放す人が増えたからだ。
日本では新車新規登録からガソリン車で13年経った車両は自動車税が15%(軽自動車は20%)の重課制度となる。さらに自動車重量税は13年超が約40%、18年超で約50%それぞれ重くなる。
1つの国に、自動車メーカーが8つもあり、日本の基幹産業にもなっているのに、古いクルマ文化を大切にしないのはおかしいと思いませんか?
■自動車税
自動車税は、ハイブリッドカーや電気自動車などを除く13年超の登録車は15%増し。例えば1.6〜2Lエンジン車の自動車税は13年以内ならば年額3万9500円だが、13年を超えると年額4万5400円になり、新しい2.5L車の税額を上回る。
軽自動車税は、初度届け出から13年以内であれば年額1万800円(2015年3月31日以前に初年度登録された軽乗用車は年額7200円)だが、13年を超えると1万2900円に跳ね上がる。特に2015年3月31日以前に初年度登録された軽乗用車が13年超になると約80%増しである。
■自動車重量税
車検の時の重量税も登録車が13年以上から18年未満は約40%増し、18年以上が約50%増し、軽自動車も13年以上から18年未満は約20%増し、18年以上が約30%増しとなる。
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