【ノートe-POWERらのヒットの法則】ちょい足しでブレイクした人気車 4選

スバル XV「車高ちょい足しでインプレッサ越えの人気車に」

スバル XV/2019年7月販売台数:2610台。インプレッサをベースとしたクロスオーバーながら、その台数はインプレッサスポーツ(1319台)の約2倍と本家を凌ぐ人気車に

 最近はSUVの人気が高い。SUVはメーカーにとって都合の良いカテゴリーだから、車種が増えて売れ行きも伸びた。

 SUVの場合、エンジンやプラットフォームは、基本的に既存のユニットで済ませられる。居住性や積載性の優れたワゴン風のボディに、大径タイヤなどを組み合わせるとSUVになるから、開発が比較的容易だ。

 その代表がXVになる。インプレッサスポーツをベースに、ワイドなフェンダーを装着して最低地上高を200mmに高め、大径タイヤを履かせた。つまり派生車種だが、XVの売れ行きは、インプレッサ(スポーツ+G4)に近い。

 ちなみに、かつてのレガシィアウトバックは、ツーリングワゴンをベースに開発されるSUVだった。北米仕様には、セダンボディのアウトバックもあり、SUVの多様性を示している。

 フェンダーにホイールを縁取る樹脂パーツを付けて、大径タイヤを履かせれば、SUVになって堅調に売れるのだから、造る側には都合が良い。

 ただし苦労もある。XVのように最低地上高を200mmまで高めると、本格的な悪路に乗り入れるユーザーも増える。それに見合う走破力がないと、車両にダメージが生じるため、ベース車の状態から対応を図らねばならない。

 そのために外観をSUV風に変更しながら、最低地上高をあまり高めない車種もある。ノート Cギアは最も高い仕様でも155mm、アクアクロスオーバーは170mmだ。

 これでは外観がSUV風に見えず、売れ行きも伸びていない。XVは一見すると手軽に開発され、要領良く儲けられるオイシイ商品に見えるが、デザインまで含めて周到に計算されている。

 しかも価格が割安だ。インプレッサスポーツに比べると、9万円程度の価格差で最低地上高を拡大して外装パーツもSUV風になり、シート生地まで上級化される。XVは戦略的な商品だからこそ、堅調に売れているわけだ。

スペーシア「ギアの追加でさらに人気アップ」

スペーシア/2019年7月販売台数:1万2688台。昨年末にSUV風の「ギア」を追加。販売台数は前年同月比107.1%と向上している

 スペーシアは、全高が1700mmを超える背の高い軽自動車で、後席側のドアはスライド式だ。N-BOXやタントのライバル車で、2017年12月に発売された時は、ほかの軽自動車と同じく標準ボディとエアロパーツを装着するカスタムを用意した。

 一般的にはこの2種類のみだが、スペーシアは1年後の2018年12月に、SUV風のスペーシアギアも加えている。

 前述のXVはインプレッサスポーツに比べると最低地上高を高めて全幅も25mm拡大したが、スペーシアギアの最低地上高は標準ボディやカスタムと同じ150mmだ。

 ところがジムニーと共通性を感じさせる丸型LEDヘッドランプやフォグランプ、ボディサイドの下側に装着されたサイドアンダーガーニッシュ、サイドドアガーニッシュなどにより、SUVの見栄えを上手に表現した。

 加えて価格は割安だ。スペーシアカスタムに比べると、7万5600円の上乗せでエアロ仕様の外観がSUV風に変更され、なおかつルーフレールも追加装着している。ルーフレールの価格換算額が3万5000円相当だから、それ以外の外装は4万円程度で変更された。

 そのため、スペーシアの2019年1~6月における届け出台数は、対前年比で113%になった。スペーシアの発売は2017年12月だから、2018年は絶好調に売れて、対前年比も145%に達している。

 そうなれば2019年は下がるのが普通だが、スペーシアギアの追加で、販売台数をさらに上乗せした。スペーシアギアはいかにもスズキらしい、コストを抑えながら販売効果を高めた戦略モデルだ。

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