新車価格700万円がいまや[100万円台]!! トヨタが世界初の市販車として発売[水素MIRAI]は買いなのか!?

■FCEVだと切っても離せない水素ステーションの話

 MIRAIを走らせるエネルギー源は水素だが、水素充填は専用のステーションで行う必要がある。

 そのステーション数だが全国で161カ所が運用されており、分布は首都圏50カ所、中京圏49カ所(愛知県に集中)、関西圏20カ所、九州圏15カ所、他北海道や東北地方に数カ所ずつ拠点がある程度。

 乗るとなれば近くにステーションがあるか押さえておきたい。水素の価格も上昇気味で、1kgあたり1600円~とする店舗が多い。

■では、実際にMIRAIの中古ってどう選ぶべき?

自社開発の水素タンクは法律で定められた15年までフルに使える(ハズ)
自社開発の水素タンクは法律で定められた15年までフルに使える(ハズ)

 諸説あるが、筆者としては「買い!」と見ている。「水素タンクの交換費用は1本200万円」などとも言われているが、真偽のほどは不明だ。

 そしてトヨタが定めているタンクの保証期間は「5年または10万kmの早いほう」だが、高圧ガス保安法による耐用期間は「製造から15年」なので、トヨタが自社開発したタンクが5年やそこらで逝くはずはない。

 そのため2030年頃までは、タンク交換のことなど微塵も考えなくていいはず。そのほか車検のたびに「FCV専用点検」が必要になるわけだが、これにしたって莫大な金がかかるわけでもない。

 つまり初代MIRAIは、高級車ゆえ「格安維持費で済む」という類のクルマではないが、ほどほどの維持費を愛車に投入する覚悟さえあれば、タンク交換が必要となる2030年頃までは割と普通に維持できる可能性が高いのだ。

 そして中古車購入時のチェックポイントも、普通の高級車と同じである。つまり「手荒く扱われた形跡がなく、なおかつ正規ディーラーでの整備履歴がしっかり確認できるモノを、信頼できる店で選ぶ」という方向性で臨めば、おそらくは普通にイケるだろう。

●中古MIRAIのチェックポイント
・燃料電池車専用の点検メニューもあるがベラボーに高くもない
・維持費はヤリスほど安くはないが蓄えがあるなら充分乗れる
・整備履歴が残っている個体を信頼できる拠点で買おう!
・法律で交換義務があるタンクだが、破損さえなければ15年フルで使えるハズだ

(TEXT/伊達軍曹)

■結論:MIRAIの中古はストライクゾーンとなる人がかなり少ないのでは……?

 「700万円のクルマが100万円台で!?」という気持ちから分析を重ねていった初代MIRAIの中古だが、少なくともたびたび県外へ遠乗りする企画担当にはアンマッチな選択のように思えた。しかも維持費が未知数という恐怖もある。

 一方で、水素ステーションが近所にあり、その周辺でしか乗らないよと割り切れる人ならありかもしれない。ステーションの数さえ増えてくれればなぁ……。

■実際にMIRAIに乗る国沢親方が憂う「MIRAIはどう生きるか」

トヨタMIRAI愛に溢れる国沢親方。国が動かねば未来はなく、MIRAIもまた消滅の危機か
トヨタMIRAI愛に溢れる国沢親方。国が動かねば未来はなく、MIRAIもまた消滅の危機か

 水素タンクの耐用年数が15年となっている。これを交換するとなれば、中古車相場より高くなるだろうから廃車にするしかなく、現在どうするか検討中。どうやら比較的安価なコストで耐用年数延長ができるようになるというけれど、現時点ではリスクと考えます。

 また、弱点で挙げたとおりMIRAI最大にして唯一の弱点は「水素を使うこと」に他ならない。こう書くと水素そのものに問題あるのかと思うかもしれないが、そら違う。水素の供給体制を作ろうとしない国の責任です。考えてみたら石油利権って大きい。自民党だけで192人も関連団体のメンバーがいるほど。

 先代MIRAIも現行MIRAIも買った。この10年で水素事情はよくなるどころか悪化している。こんないいクルマが事実上フェードアウトしそうになっていることを嘆きます。

(TEXT/国沢光宏)

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