■両車の結果予想としてはふたつ考えられる
結果予想としてはふたつある。まずひとつは両者ともに微妙に違った道を歩み、両者成功すること。今後発表される価格にもよるが、シエンタは手頃な300万円以下で買える扱いやすいコンパクトミニバンとして既存客をしっかり守る。
かたや新型フリードはより室内の広さ、クォリティを求める微妙なステップアップ客を取る。それも標準のエアーで既存フリード客を取り、ややワイルドでデカ目のクロスターで新しい客を取る。
事実、新型フリードは一部に価格が高くなった兄貴分であるステップワゴンの客が流れていると聞く。そういう意味では微妙に現行フリードとは違う客層となる。
もうひとつは、シエンタは客をしっかり守り、フリードがやや失敗する結果予想。というのもシエンタが全長4.26mを頑なに守った背景には、1990年代に雨後の竹の子の如く乱立したコンパクト~ミディアム系ミニバンの失敗が関係していると思われるからだ。
ビッグネームから言うと全長4.5m台のコンパクト系スタイリッシュミニバンだったホンダストリームとトヨタウィッシュ。どちらも初代モデルで一時は月販1万台超えを記録したが、結局両車とも2世代で消え去った。
カローラの延長線上で出た3列シート車、カローラスパシオもなくなったし、全長4.6m台だったトヨタのイプサムやガイアも消え、日産キューブキュービックも消え去った。
もちろん、これらはほとんどがスライドドア非装備ミニバンであり、その要件が時代に合わなかった可能性も高い。
■コンパクトミニバンは欲張りすぎてはいけない
とはいえこれまでの歴史が物語るのは、コンパクトミニバンは欲張りすぎたら失敗するという事実だ。そもそもコンパクトとミディアムの中間のハンパなサイズであり、妙にイイトコ取りをすると大抵消え去る。
もちろん、「もっと広く」「もっとよゆうを」という声はコンパクトミニバンからは消えない。だが、その客の声に応えすぎてボディをデカくしてしまうと結局は「ノア、ヴォクシー、ステップワゴンでいいや」となる可能性がある。
当然ながらクルマは新しくなるたびに性能が上がるべき商品。とはいえ、ほどよい割り切りがないと成功はできない。
果たして新型フリードの「よゆうの」「ややデカ戦略」は成功するのか? 実は結構見ものだと小沢は思っている。
【画像ギャラリー】サイズアップしてきた新型フリードだが、あえて「よゆう」を売りにしてきたのか?(42枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方終わりの始まり。大きくなってしまったステップワゴンと共に消えてゆく運命。小さいまま、勝負するべきでしたな。
小さいまま作り続けるのは難易度高い。安全性能確保のためにはより重くなりやすいし、デザインも制限が倍増する。
だから作り手は大きくしたがる。その方が楽だから。売れるものを作りやすいから。だが実際売れるか判断するのは高い金を出す消費者