ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はシボレー 7代目コルベット(2014-2019年)試乗です!(本稿は「ベストカー」2019年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)
撮影:西尾タクト
■力ずくでねじふせる! コルベットに乗るとトランプの政策がよくわかる!!?
当連載で私が乗りたいクルマを指定することはいっさいない。すべて編集担当の飯干さんが決めている。
基本的にはニューモデルを用意していると思うのだが、なぜか今回はモデル末期のコルベットがきた。
本国アメリカでは新型の8代目が発表されたこのタイミングでなぜなのか? 完全に飯干さんの個人的趣味である。
いつもの撮影場所に行くと、「すみません。今日は私が乗りたいクルマを持ってきました」とニコニコ顔だ。「すみません」という言葉と態度が完全に乖離している。私は今日、飯干さんの趣味に付き合わされる1日になるのだ!
といっても、私もコルベットは大好きなクルマだ。最後のリトラクタブルヘッドライトである5代目C5コンバーチブルを所有していたこともある。
かつて、フロリダの街をレンタカーのカルタスコンバーチブルで流している時、ぶち抜いていったのがC5コンバーチブルだったのだ。その印象が強烈で帰国してすぐに買ってしまったのである。
8代目はミドシップになるという。私はそのあたりにこだわりはないのだが、飯干さんは「これが最後のFRコルベットなんです!」と力説している。
そんなことより、コルベットは代を重ねるごとにどんどん凶暴になっていくのがちょっと寂しい。
映画『ジュラシックパーク』は1作目が一番優雅でロマンチックだった。2作目以降、恐竜たちが人間を襲うようになって「流れが変わったな」と思ったものだ。
ゴジラも昔は子どもたちのアイドルだったのに、最近はただの暴れん坊になっている。それとコルベットが重なるのだ。
その切なさはあるのだが、GT-Rと一緒で、存在するだけでありがたいのも確か。細かいことはどうでもいいという意見もある。
運転席に座ったとたん「あ~、コルベットだ!」と叫んでしまった。私が乗っていたC5からもう20年以上経っているのに、包み込まれるような感覚とロングノーズの眺めはC5とそっくり。このへんの伝統の活かし方はうまいなと思う。
見て触っているうちに「コルベットはやっぱりいいな」という気持ちになってくる。街でフェラーリやランボルギーニを見るよりもコルベットを見るほうが羨ましい。
フェラーリやランボは高値安定物件でお金があれば躊躇なく買えるが、コルベットはアメリカ車へのロマンや憧れがなければ絶対に買わないクルマだからだ。
割れた蛍光灯に向かってダイブするデスマッチみたいなものでもある(笑)。
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