ひと昔前はクルマは錆びるという認識は多くの人が持っていたものですが、今日のクルマは防錆処理技術の向上で錆びて穴が開くようなシーンも見なくなった。
しかし実際のところはどうなのだろうか。鉄板で構成されている以上、物理的に錆びないというわけはない。
ましてや中古車を買うとなったら前オーナーがどのようにクルマを使っているかもわからない。錆びないための工夫、そして錆びている可能性のあるクルマとはいったいどのようなものなのでしょうか?
文:国沢光宏/写真:AdobeStock
ベストカー2019年9月26日号
■防錆技術向上でも錆びなくなったわけではない
最近の日本車は防錆技術が大幅に向上している。実際、錆びたクルマを目にすることなど珍しくなった。実際どうなんだろう?
先日、沖縄でレンタカーに使われていた8年落ち/走行3万kmのクルマをジックリとチェックする機会あったので紹介したい。
まず外観をひと回りした時の「錆」だけれど、残念ながら目立った箇所が存在しましたね。ブレーキキャリパーであります。フロントブレーキのキャリパーは、もはや赤錆むき出し状態!
分厚い金属の鋳物のため強度など問題ないと思われるが、商品性を考えたら厳しい。東京なら交換しないと中古車としちゃ売れないだろう。
リアのキャリパーもキッチリと錆びているほか、ブレーキディスクの奥側にある金属プレートやブレーキディスクの内側なども激しく錆びている。
これまた機能的な問題や危険性はないだろうが、もう少し進行したら車検時にふるい落とされるかもしれないレベル。塩水のなかを走ったことなどないだろうけれど、現代のクルマでもこんなに錆びるとは!
降雪時に融雪剤を撒く地域のブレーキは、さらに錆びると考えていいだろう。ブレーキ回り、厳重な防錆対策をしているかと思いきや(ローターとパッドは摩耗するので錆びるのは止むなし)、そんなことありませんでした。
もちろんブレーキだけでなく、サスペンションのアーム類を固定しているボルトやナットが錆びているケースだって多い。激しく腐食すると緩めた途端、ボルトが折れることだって珍しくない。
中古車を買う時は足回りのチェックを忘れずに行っておきたい。
■ボディは基本的には錆びないが修復歴には要注意だ
ボディやいかに? 日本車で最も優れているのがボディの防錆加工だと思う。生の鋼板部分についちゃすべてコーティングしてある。したがって錆びないと考えていい。
けれど8年落ちの中古車を見たらドアの下側に錆の膨らみができていた。爪で押すと沈み込む。明確な錆です。
なぜ錆びるかと言えば、板金補修の痕跡だ。板金補修すると必ず生の鉄板まで研磨する。その時に新車のようにはならず、錆びてしまうのだった。板金塗装技術の低い修理だと、相当の確率で錆びます。
そのほかはどうか。樹脂部分の塗装の退色が気になってくる。といってもバンパーなど工場のラインで塗っているような部品は沖縄などの強い直射日光を浴びてもあまり問題出ない。
けれどリアスポイラーなどほかの外注工場で塗ったような樹脂部品は自動車メーカーの品質基準に達していない。
バンパー以外の樹脂部品が退色や変質してザラザラになってしまっているケースは案外多い。もちろんメーカーや車種による差も大きい。
結論を出そう。やはりクルマは使われている自然環境により劣化の度合いが大きく違う。中古車を買うなら足回りを中心にジックリとチェック。
下回りを見て怪しい塗装などあれば錆の補修をしている可能性大きい。雪道や海沿い、温泉(例えば草津温泉の周囲は錆びやすいといわれる)などの近所で使われていたクルマは、できれば中古車として選ばないようにしたほうがよいかと。
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