【消費増税目前なのに沈静…】駆け込み需要が「ない」事情と思惑

駆け込み需要を抑えるよう国からの自粛要請

 また、今回、駆け込み需要が比較的軽微と思われたもうひとつの要因のひとつに挙げられるのが、メーカーの販売店に対する自粛要請があったのも効いている事情もある。

「メーカーは国からの行政指導で市場の混乱を避けるため駆け込み需要を煽るような販売活動を避けるようにしてほしいと要請され、それが販売店に伝えられています」(首都圏ホンダカーズ店)との声もある。

 これについては実際傘下の販売店に伝えているメーカーとそうでもないところにわかれているようだ。トヨタとホンダは行政指導の要請を受けて対応、日産以下他社は正確に伝えていないようだが、これについてはあまり明確になっていない。

9月はメーカーの中間決算セール

 2019年9月は駆け込み需要の最終月といえるが、メーカーの中間決算セールとも重なっているので、どちらの影響が強いのかはっきりしない状況にある。

 2019年9月はほとんどのディーラーが1台でも多く売ろうと大型キャンペーン企画を実施している。具体的には車両本体価格の大幅値引き、オプションサービス、ナビの割引、キャッシュバック、下取り車の高価格買取りや最低保証などである。

 例年だとこれらの資金はメーカーが拠出するわけだが、今回はゼロか金額を減らしている。これも駆け込み需要の煽りを和らげる一因になっているのかもしれない。

メーカー別で見る駆け込み需要発生状況

各メーカーの新車販売現場では駆け込み需要はあったのだろうか?
各メーカーの新車販売現場では駆け込み需要はあったのだろうか?

 それでは、各メーカーの駆け込み需要に対する取り組みを見ていこう。

■トヨタ販売店の証言
「量販車についてはオーダーが入ってから生産し、納車するので成約後2、3カ月かかります。

 2019年7~8月時点で消費税は10%になるのをユーザーに伝えていますので、駆け込み需要は基本的にあまり存在しないと思います。

 2019年4月に新型RAV4、2019年9月にカローラのフルモデルチェンジ、2019年10月にC-HRのマイナーチェンジなどで納期が先送りになっていますので、こちらのクルマも駆け込みの対象になっていません」(東京地区のトヨタモビリティ東京店)と、消費税引き上げにはあまり影響を受けていない様子。

 また納期が長引き、消費税が10%になれば、その旨をユーザーに伝えて値上がり分での契約書を作成するようにしている、という。

■日産販売店の証言
 主要モデルの新型車は軽自動車のデイズだけで登録車は2019年8月にマイナーチェンジしたセレナ以外はモデルが古い車種ばかりだから、駆け込み需要を活用するしか手がない状況にある。

「2019年9月は中間決算セールなので10万円のキャッシュバックや買い得車設定で盛り上げを図っています」(首都圏日産ディーラー)とコメント。

■ホンダ販売店の証言
「2019年7月にN-WGNをフルモデルチェンジし、2019年10月にはフィットのフルモデルチェンジやN-BOX、フリードのマイナーチェンジ、2019年11月にはオデッセイのマイナーチェンジなどがあります。これに従来モデルの在庫一掃セールと重なっている状況ですが、これといった駆け込み需要はないですね」(首都圏ホンダカーズ店)。

■マツダ販売店の証言
 2019年5月にマツダ3、2019年7月にマツダ2を発売し、2019年9月20日にマツダCX-30を発売。新型車が多いうえに販売店のマージン幅縮小で値引き余力がなくなっているので、駆け込み需要といっても、買い得モデルの設定などについては対応ができない状況にある。

「もともと大幅値引きには対応していません。逆にクリーンディーゼル車は、環境性能割の対象になって売り込みには優位になりますので駆け込み需要は無関係ですね」(首都圏マツダ店)とあまり駆け込み需要には無関係とのスタンスだ。

■スバル販売店の証言
「2019年10月に発売するマイナーチェンジ版のインプレッサの受注を2019年8月27日から開始していますがおかげさまで好調です。でも駆け込み需要という大きな動きはありません」(首都圏スバルディーラー)。

■三菱販売店の証言
「消費税10%増税前に登録できるように、令和初の決算セールを開催してきましたが、以前のようにどっとお客様が焦ってお見えになることはなかったですね。デリカD:5やエクリプスクロスやekシリーズなど新しい車種が増えましたので売りやすいです」(首都圏三菱ディーラー)。

■スズキ販売店の証言
「今年は新型車が少なく増販攻勢をかけにくい状況ですが、軽自動車とコンパクトカーが中心のため、消費税引き上げの影響はあまり受けていません。2019年9月の中間決算セールは普通に進めています。駆け込み需要はあまり意識していないですね」(首都圏スズキ店、アリーナ店)。

■ダイハツ販売店の証言
「新型タントは好調な販売なので消費税が10%になっても売れると思います。他のモデルも軽自動車、コンパクトカーが中心なので消費税10%の影響は少ないと思っています」(首都圏ダイハツディーラー)。

次ページは : 2019年10月以降は反動減?

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