■アフォーダブルな「SDVライト(right=ちょうどいい)」の提案
第3に、スズキらしいアフォーダブルな「SDVライト(right=ちょうどいい)」を提案していることです。SDVとは「ソフトウェアデファインドビークル」の略語で、ソフトウェアがクルマの価値を作り出す重要な技術トレンドです。
テスラや中国ブランドがその代表例で、OTA(通信を用いたソフトウェアアップデート)を頻繁に用いて魅力的な顧客体験と斬新な価値を提供しています。
ただし、高額なコストがかかります。生活の足である国内の軽自動車や所得水準がまだ発展中のインドでは違う価値が求められるでしょう。ちょうどいいSDVの価値をスズキは創造する考えです。
グローバルで標準化されている機能は統合ECUで括っていきますが、コックピットやADAS(先進運転支援)のように世界で需要が異なる機能はあえて括ることを避け、個別ECUで制御する。
そのなかで、ちょうどいい価値と価格を提供する考えです。インド市場を熟知しているスズキはこれが正しい方向性だと考えています。
■トヨタに劣らぬ全方位戦略
素晴らしい技術の方向性を発信したのですが、リリースにはこういった技術詳細が充分とは言えません。
発表現場においては、詳細な技術展示と担当本部長らの熱い説明がありました。スズキはなぜこれら開発技術を前面に押し出した発表を行わないのか正直不思議でした。
トヨタに劣らぬスズキらしいマルチパスウェイ戦略の真価は伝わりづらいなと感じます。
閉塞感漂う国内自動車産業にとってインドを支配するスズキは大きな希望です。古びたやり方を改め、情報発信においてトヨタの「したたかさ」も見習ってほしいものです。
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