史上最高の個性派!? アウディ[TTクーペ]は当時から存在感ピカイチだった!! 【リバイバルBESTCAR】

史上最高の個性派!? アウディ[TTクーペ]は当時から存在感ピカイチだった!! 【リバイバルBESTCAR】

 街中などで走っているのを見かけると、そのサイズとは見合わない存在感についつい魅入ってしまう、そんな印象を筆者はアウディTTクーペに持っている。加えて走りのポテンシャルも高く、現代の若者で所有する人もチラホラ。そんなアウディTTクーペだが、発売当時はどんな印象で世間は受け止めていたのだろうか。そこで今回20歳のアルバイターである私が、約25年前という生まれる前の当時の試乗記をリバイバルし、調べてみた!!

この記事はベストカー1999年04月10日号(著者は鈴木直也氏)を転載し、再編集したものです。

■圧倒的な存在感と異彩を放つ特異なプロポーション!!

流麗なデザインが際立つ。見かければよそ見厳禁
流麗なデザインが際立つ。見かければよそ見厳禁

 ヨーロッパで今、一番元気が良いのがVW・アウディグループだ。98年には生産台数を6%以上伸ばし、トヨタを抜いて世界第3位に躍進する好調ぶりだが、さらに社長更迭で揺れるBMWの買収に食指を伸ばすなど、その拡大意欲はアグレッシブのひと言。

 21世紀には600万台メーカーになるという野望に燃えている。そのVW・アウディが、いまグループをあげて重視しているのが”デザインとクオリティ″の差別化だ。

 もともとドイツ車といえば品質の高さが売りものだったが、それにさらなる磨きをかけるとともに、ライパルに差をつける独自のデザインで付加価値を高める。

 ゴルフⅣやアウディA4など、最近登場したVW・アウディ車は、すべてこのコンセプトを明確に打ち出したクルマ造りしている。

 で、この『ウチのクルマのデザインはヨソとは違うんだ!』というコンセプトをさらに徹底するため用意された尖兵が、先にデビューしたニュービートルと、このアウディTTだ。

 このアウディTTのコンセプトカーが95年のフランクフルトショーに登場したときには、ドイツ人好みのネオ・クラシックデザインが好評だつたものの、まさかそのまま生産化にいたるとは、当時はほとんどの人は考えていなかった。

 ところが、フェルディナンド・ピエヒ率いるVW・アウディグループは、その″まさか″を現実のものとしてしまった。

 ショーから3年後、98年の秋に市場にデビューしたアウディTTのデザインは、リアクォーターピラーに三角窓が付いたくらいで、ほとんどコンセプトカーそのもの。

 お椀を伏せたように丸っこい全体のフォルム。ウエストラインにちょこんと乗っかったトーチカのように小さなキャビン。顔を出すのもままならないんじゃないかと思われる小さなグラスエリア……。

 こんなデザインのクルマがそのまんま路上を走り出したインパクトは、ピエヒの狙いどおり、やはり相当に大きい

■道行く誰もが好奇の目を向ける!?

そのクオリティに思わず驚いてしまう。
そのクオリティに思わず驚いてしまう。

 実際、今回の試乗で東京の街の中に置いてみたアウディTTの存在感といったら、それこそスーパーカー並み。

 サイズは全長4041mm、全幅1764mmとコンパクトだし、全高だって1346mmと大して低くもないんだけど、まるでアルミのカタマリから削り出したようないかにもドイツ的な硬質なデザインが道ゆく人を振り返らせる″オーラ″を放射している。

 コクピツトに収まるドライバーにとっても、デザインとクオリティに関しては高い満足感が味わえる。

 インテリアのデザインは、外観と同様にアルミの質感と丸のモチーフが反復されたものだが、メーターやスイッチ、ノブなどの″小物″が、すべてこのTT専用のデザインとなっているなど、外観と同様に”特別なクルマ″というイメージを強く訴えかけてくる。

 このインテリアの品質感の高さは、ライバルとなるBMW・Z3やベンツSLKを上まわるレベル。デザインとクオリティに撤したVW・アウディのクルマ造り哲学が、確実に成果を上げているのを実感することができるポイントだ。

 今回試乗したTTは180psのFF仕様だったから、走りっぷりに関してはそれほど非几なところはなく、簡単に言ってしまえば『足の固さとボディ剛性を2倍、パワーを1.5倍くらいに高めたゴルフⅣのGTI』といった乗り味。

 けれど存在感の際立つそのスタイリングと、所有する喜びが味わえるその品質の高さは、ゴルフⅣとはまったく別のクルマ。

 90mmほど短縮したアウディA3/ゴルフⅣのプラットフォームを使いながら、これだけ別次元のクルマを造り出したことが、アウディTTクーペの凄いところなのだ。

 日本車にとっても、コイツの最新デザインあるいは超個性は見習うべきところが大いにあるといえる。クーペ本来の美しさや個性が欠けてきている日本のクーペよ、このクルマぐらい思い切ってトンガッてくれ!

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