■続いての舞台は、ジムカーナ!! そして総評!!
さて、次はジムカーナ勝負である。このクラスのFFスポーツが現実的に勝負する舞台はワインディンということになるだろう。
厳密に言えばジムカーナと実際のワインディングは舞台が異なるが、ジムカーナで発揮するポテンシャルは、ワインディングでのポテンシャルに直結する。
また、今回は特にそういったことを念頭に置いたコース設定とした。ここでの勝負は文句なしにシビックの圧勝だった。
1分を切るショートコースでシビックがマークしたタイムはパルサーの46秒47を1秒以上引き離す45秒33。この差は非常に大きい。この結果はテスト前から充分予測ができた。
シビックRはレーシングカーにより近いストリートスポーツとして完成したクルマなのだ。エンジンだけでなく、ボディ、シャシーのすみずみまでパフォーマンスアップのための手が入っている。
一方のパルサーVZ-RはN1仕様とはいえ、エンジン以外は175馬カエンジンを積むモデルと同じチューンでしかない。通常の街乗りでも充分快適性を損なわない範囲の、ライトなスポーツチューンとなっているのだ。
あくまでもべースモデルとしての位置付けなのである。しかも今回のテスト車両はパワステがレスオプションとなっていて、これが走りに少なからず悪影響を与えることとなってしまったのも見過ごすことは出来ない。
パワステ無しは流石にステアリングが重い。サーキットならばこれでもいいかもしれないが、素早く、しかも大きな舵角が必要となるジムカーナではあまりにもツラい。
そのため狙ったラインをキッチリトレースできない場画があった。パワステだけでコンマ1〜2秒はタイムが変わってくるのだ。さらにシビックにおくれをとった大きな原因はコーナリングでのグリップ不足。
パルサーのシャシーポテンシャルは極めて高く、バランスのいいハンドリングを見せるが、シビックRのレベルまではコーナリングスピードを上げられないのだ。その原因はタイヤだ。
ならばシビックRと同じタイヤを装着すればいいのかというと、そういうものでもない。今度はタイヤのレベルに応じたサスチューンが必要となってくるのだ。
またタイトターン立ちあがりでのトラクション不足も問題となるポイント。タイヤのグリップレベルの差に加えて、LSDの性能も大きな差となっている。
パルサーのビスカスタイプは、ヘリカルタイプを採用するシビックに対してどうしてもトラクション面で不利なのだ。
こうしたあらゆる点を総合して、シビックのコーナリング性能はパルサーをはるかにしのぐものとなっている。ここでもアスティRSを走らせてみたが、タイムは45秒82とパルサーを上回るものとなった。
アスティRSもモータースポーツのベース車両だが、サスチューンは本格的スポーツ走行を前提としたものとなっている。タイヤもウェット性能に優れたハイグリップタイプだ。
これらがエンジンパワーのハンディを克服して、好タイムをマークした理由である。
パルサーVZ-R対シビックタイプRの対決は、動力性能でパルサー、ハンドリングでシビックという結果となった。しかしN1仕様のVZ-Rはわずか200台限定生産。誰もが買えるわけではない……
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