STIが余すことなくチューニングし、走りを極限まで追求した「Sシリーズ」は、同社のなかで最高峰のコンプリートカー。特にインプレッサのS20#シリーズは20年以上もその系譜が続き、どれもマニア垂涎のモデルとなっている。今回はそのインプレッサに限定し、魅惑のSシリーズをクローズアップする。
文/木内一行、写真/スバル
【画像ギャラリー】STIのSシリーズの歩みをもっと見る!(12枚)画像ギャラリー■「派手な見た目で世間をアッと言わせたワークスチューンド」第一世代(S201)
記念すべきSシリーズの第一弾が登場したのは2000年4月のこと。「S201」は、STIが長年で培ったノウハウを注入し、オンロードスポーツを追求したコンプリートモデルだ。
EJ20ターボはスポーツECUや吸排気系の変更により300psを発揮。ハイパワー化に合わせて足まわりもアップデートされ、車高調整式サスやピロボール式リンクなどが投入された。
そして、なによりもそのルックスに注目。
グリル一体フロントバンパーやダブルウイングリアスポイラー、ディフューザー形状のリアバンパーなど、とにかく派手で個性的。圧倒的な存在感を放った。限定台数は300台。
■「欧州車に対抗するべく 走りとともにプレミアム感もアップ」第二世代(S202〜S204)
ベースを2代目に変更し、初めてリリースされたのが「S202」。コンペティションモデルのタイプRAスペックCをベースに、ストリートにおけるオンロード性能の向上を目指して徹底チューニング。
320psまで高められたハイパワーと軽量化により、パワーウエイトレシオは脅威の4.15kg/psを達成。デビューは2002年、限定台数は400台だった。
続く「S203」が555台限定で発売されたのは2004年。欧州プレミアムスポーツセダンに対抗できる高性能を目指し、「グローバルピュアスポーツセダン」をコンセプトに開発。
エンジンは、タービンの大型化や吸排気系の最適化に加え、各パーツのバランス取りも行い、ハイパワーと滑らかなフィーリングを実現。締め上げられた足まわりには、BBS製ホイールとピレリ製タイヤが組み合わされた。
そして、ドライカーボンパーツを内外装に採用し、高性能や機能性だけでなく、高い質感やプレミアム感を付与したことも特徴だった。
翌年に発売された「S204」は、S203のコンセプトを継承し、正常進化を果たしたモデル。ベースのインプレッサがマイナーチェンジしたことにより、外装が刷新されるとともにシャシー性能も向上。S204もそれに合わせ、さらにパフォーマンスが高められた。
従来のSシリーズ同様、エンジンのパワーアップや足まわりの強化を行いつつ、内外装もスポーティかつ機能的にアップデート。
新たに、STIとヤマハで共同開発したハイパフォーマンスダンパーを前後に装着し、リニアな操舵感や高い安定性を実現した。600台限定で販売。
■「唯一の”R”に続きニュルブルクリンク24時間レース優勝記念車も登場」第三世代(R205〜S206)
多くのSTIコンプリートカーのなかで、唯一「R」を名乗るのが2010年に400台限定で発売された「R205」。S204からの流れを受け継いでいるため、ここで紹介させていただく。
インプレッサのモデルチェンジによりハッチバックのみとなったため、R205もハッチバックとして登場。「R」は「ロードスポーツ」を意味しており、ニュルブルクリンク24時間レース参戦で培ったテクノロジーをフィードバックし、最良のロードゴーイングカーを目指して開発された。
最も時間を費やしたハンドリングは、STI製ダンパーやスプリング、補強パーツなどを装着することで「強靭でしなやかな走り」をレベルアップ。意のままにコントロールできる高い操縦安定性も実現した。
この他、エンジンは320psまでパワーアップし、ブレーキはブレンボ製モノブロックキャリパーを採用。外装には専用パーツがおごられ、特別感を演出する。
2011年発売の「S206」は。再びセダンボディにスイッチ。最高峰モデルにふさわしい走りを実現するため、ビルシュタイン製ダンパーやSTI製スプリングなどで足まわりを締め上げ、EJ20ターボはピストンなどのバランス取りを施しつつボールベアリングタービンをセット。
外装は専用の前後スポイラーのほか、フロントフェンダーにはアウトレットグリルも装着された。
そして、ニュルブルクリンク24時間レースでのクラス優勝を記念し、カーボンルーフなどを装備した「NBRチャレンジパッケージ」が設定され、注目を集めた。300台限定、うち100台はNBRチャレンジパッケージ。
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