特別仕様車は一部のスポーツモデルなどの本格的なチューニングが施されることがあるが、実用車などは本来オプションであるものや設定のない装備を標準化した、いわゆる“お買い得仕様”であることが多い。ユーザーにかなりのインパクトを与えたネーミングとして知られるのが、スズキ車に設定された「21世紀スペシャル」である。
文/小鮒康一:写真/スズキ
■ワゴンRやアルト、Keiにも設定された「21世紀スペシャル」とは
スズキの軽自動車に設定された「21世紀スペシャル」は、21世紀目前の2000年12月に登場し、ベーシックモデルのアルト、トールワゴンのワゴンR、そしてクロスオーバーSUVのKeiの3車種に設定されていた。
どのモデルもお買い得仕様であることは間違いなかったが、実は車種によって微妙に装備やベースグレードが異なっており、この辺りは実用車を得意とするスズキらしいところと言えるだろう。
まずアルトに設定された21世紀スペシャルは、5ドアの乗用セダンモデルをベースに、通常は標準装備とならないパワーウインドウ、パワードアロック、キーレスエントリー、AM/FMラジオ付カセットステレオ、フルホイールキャップなどの装備を標準化した上で、72万3,000円~という低価格を実現したもの。
ワゴンRは標準タイプのFMグレードをベースに、RR譲りの異形4灯ヘッドランプや前後とサイドのアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラーを装着したフルエアロ仕様となっている。
そのほかAM/FMチューナー・MD・CD・カセット一体型ステレオや電動格納リモコンドアミラー、専用シート表皮などを標準とした上で、ベース車の10万円高という価格(109万5,000円~)としている。
そしてクロスオーバーモデルのKeiでは、21世紀スペシャルの中で唯一Siターボエンジンを搭載し、エアコン、AM/FMラジオ付カセットステレオ、パワーステアリング、パワーウインドウ、パワードアロック、キーレスエントリー、電動式リモコンドアミラーを装備。
ほかにも、リア、クォーター、バックドアガラスにスモークガラスを、フロントドアにはUVカットガラスを採用しながらも、88万8,000円というバーゲン価格を実現していた。
このように21世紀スペシャルは、アルトは実用性を、ワゴンRはドレスアップ性を、Keiはモアパワーを現実のものとし、それぞれのメインユーザーに刺さる特別仕様車となっていたのである。
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