8月28日、東京湾のアクアラインが事故で通行止めになった。その時アクアラインにはたくさんのクルマが走っていたのだが、どうやって現場から脱出したのだろうか? NEXCO東日本関東支社に、緊迫した当時の様子を聞いてみた!
文:ベストカーWeb編集部/写真:NEXCO東日本関東支社、Adobestock
■アクアラインに閉じ込められたクルマはどうなったのか?
2024年8月28日、筆者ツノダとキムラは訳あって千葉県にいた。用が済んで「あちーあちー」とクルマに戻って帰ろうとしたら、なんとアクアラインが通行止め! トンネル区間で事故が起きたようだ。
やむなく我々は、館山道>東関道>一般道>京葉道路>外環と5時間近くかけて帰宅したわけだが(すべてキムラが運転)、もっと気の毒だったのは事故当時にトンネル内におられた方々。不安な時間を過ごされただろうと推察する。
となると気になるのだが、そこに留まらざるを得なくなったクルマはどうやって脱出できたのだろうか? ずっと動けなかったのだろうか? そこで、アクアラインを管理するNEXCO東日本関東支社に、当時の状況を聞いてみた。
■ポイントは「風の塔」
最初に何が起きたかまとめておこう。8月28日の正午前、千葉県側からアクアラインに入り、もう少しで終点の川崎浮島ジャンクションに着く上り線1.4kmポスト付近で、乗用車とトラックなど3台が絡む事故が起きた。
事故により乗用車の乗員1名が死亡、火災も発生したが、こちらは1時間程度で消し止められている。
とはいえアクアライン自体は、この事故を受けて長時間通行止めとなった。上り線の通行止め実施が11時58分、解除が21時20分だから、9時間以上に渡り不通だったことになる(※下り線は19時に解除)。
このときアクアラインにいたクルマだが、まず事故と反対の下り車線。ほとんどクルマがそのまま木更津金田ICまで走行して難を逃れたが、川崎浮島ジャンクションでアクアトンネルに入ろうとしていた車両はトンネルに入れず、上り線にUターンを強いられた。
いっぽう事故の起きた上り線はどうだったか。重要なポイントとなったのが「風の塔」だ。
アクアラインの休憩施設である海ほたるから川崎方向をみると、海の上に白と青のストライプに塗られたタケノコのようなものが付き出している。これが風の塔と呼ばれるアクアトンネルの換気施設だ。
風の塔はアクアラインのトンネル区間の中間地点にあり、建設時にはシールドマシンの基地として使われた。実はその直下に上り線と下り線を接続するゲートがあり、ここを開くと非常時にはUターンルートして機能するのだ。
■状況をSNSで発信し続けたNEXCO東日本
さておき、事故は全長9.5kmのアクアトンネルの出口近くで起きたから、通行止めとなった時トンネル内にかなりの車両が滞留してしまった。そこでNEXCO東日本は風の塔下にあるゲートを開き、まず風の塔よりも下手にいる上り線の車両を、下り線へと逃す策をとった。
下手にいるクルマの退避が完了すると、次は風の塔よりも上流にいるクルマを塔に近い順にUターンさせ、これまた風の塔から下り線に脱出させた。一時的に逆走となるが非常時ゆえこれはやむなしとして、こうやって数珠繋ぎのクルマを、後方から解消させていったのだ。
いっぽうこの対応をしているうちに、事故処理が進んで現場の片側1車線(追い越し車線)が走行可能となった。事故現場に最も近い場所で動けなくなっていたクルマは、このルートから脱出可能となった。時間は要したものの、こうやって事故で滞留していたクルマはすべて脱出できたわけだ。
ちなみにNEXCO東日本関東支社は、SNSのXを通じて現場の状況を逐次公開していた。12時13分に通行止めの第一報をポストし、以降事故処理の状況や消火作業、トイレカーの設置、軽食・飲料水・簡易トイレの配布、車両の誘導開始などをきめ細かく発信している。現場で動けない人にとっては、幾分でも不安を和らげる材料になったはずだ。
事故は起こすべきではないし、遭遇したくもないが、思い通りにはならないこともある。まさかの状況を想定して、道路設備などに関心を持つことも悪くないかもしれない。
【画像ギャラリー】簡易トイレの配布も! 刻々変わる現場の様子をNEXCO東日本のXの画像で見て!(13枚)画像ギャラリー
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