【キューブ、モビリオ…今だったら大ヒット?】登場が早すぎた残念なミニバンたち

■日産 ティーノ

日産 ティーノ。B15型サニーのプラットフォームを使用して開発された。当時は新しさを感じさせる1台だった

 エディックスより5年以上も早く、2列シートの6人乗りを実現したのが、日産のティーノだ。デビューしたのは1998年12月である。

 開発コンセプトは「快適、快速ハイトワゴン」で、優れたパッケージングを売りにした。最大の売りは、前席3人がけ、後席3人がけの2列シート6人乗りとしたことである。

 しかも前席の中央席と後席は独立して脱着することが可能だ。シートアレンジも多彩だった。シートを取り外せば、荷室スペースもグッと広くなる。

 全長はサニーより短い4270mmだ。が、全幅を1760mmまで広げ、室内幅1500mmを実現している。

 心臓は1.8Lのリーンバーンエンジンと、2Lの直列4気筒DOHCで、2LモデルはハイパーCVTだ。さすがに中央席は窮屈だが、いざという時は6人が乗れ、重宝した。

 だが、販売は伸び悩んだため、2000年4月に前席セパレートシート、後席は5:5分割式のベンチシートを装備した5人乗り仕様を設定する。また、6人乗り仕様の後席中央席をチャイルドシート内蔵タイプに進化させた。

 同じ時期、1.8Lエンジンに駆動用の交流同期モーターを組み合わせたハイブリッド車を、限定販売(100台)している。これはリチウムイオン電池を搭載した画期的なハイブリッド車だった。

 これらのほか、買い得な廉価モデルやオーテックジャパン製のキッズバージョンなどを積極的に投入。だが、月販5000台の目論見は外れ、2003年春に生産を終えている。ティーノは時代を先読みしすぎた、悲運の名(迷)車と言えるだろう。

■日産 キューブキュービック

日産 キューブキュービック。コンパクトなのに7名乗車ができる3列シート車として、話題を集めた

 日産のコンパクトハイトワゴンが、マーチから派生したキューブだ。その2代目は2002年10月に登場した。そして1年後の2003年9月に3列目のシートを装備し、7名乗車を可能にしたキューブ3(キュービック)を追加設定している。

 キューブのホイールベースを170mm延ばし、そこに狭いながらも2人分のシートスペースを確保した。それでも全長は3900mmと、現行の3代目キューブとほとんど変わらない。

 エンジンは、キューブと同じ1.4LのCR14DE型直列4気筒DOHCだ。トランスミッションは、4速ATとマニュアルモード付き6段変速のCVTを用意している。が、フル乗車だと余力はなかった。

 そこで2005年5月のマイナーチェンジの時に、1.5LのHR15DE型DOHCエンジン搭載車を追加している。また、電気式四駆のe-4WDも投入した。1.5Lエンジンならキューブより100kg重くても力強い加速が可能だ。

 3列目のシートは子ども用である。2列目をスライドして前に出せば3列目の足元スペースは増えるが、大人だと身をかがめて座らなければならない。

 居住空間としてはミニマムだが、荷室は広くなっているからキューブよりたくさんの荷物を積むことができる。使い方次第で便利なマルチパーパスカーだったのだ。

 キューブキュービックの月販予定台数は3500台だった。デザインもよかったのでデビュー当初は好調に売れている。が、キャビンは2列+アルファの空間だから、すぐに販売は頭打ちになった。

 2008年、キューブのモデルチェンジを機に、キューブキュービックはカタログから落とされている。いざという時には7人が乗れる、使い勝手のいいコンパクトカーだっただけに生産終了は惜しいと思う。

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