人も荷物も積みたいけど、駐車場の都合であまり大きいクルマは買えない…。そんな人の心をガッチリつかんでいるのが、シエンタ、フリードなどのコンパクトミニバンだ。
実は、そういったコンパクトミニバンは、過去にも登場していた。だが、残念ながら登場した時代が悪かったのか、ユーザーのニーズにイマイチ対応できていなかったのか、1代限りで生産終了となってしまったものも多い。
今回は、そんな登場が早すぎた残念なコンパクトミニバンのなかから、リニューアルして売り出せば、人気が出るのでは? というモデルをピックアップして紹介したいと思う。
文/片岡英明
写真/HONDA、NISSAN、TOYOTA、編集部
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■ホンダ モビリオ
フィットの誕生から半年後の2000年12月、フィットをベースにしたコンパクトミニバンのモビリオを発表している。
これはホンダが唱える「スモールMAX」の第2弾だ。センタータンクを採用したグローバルスモールプラットフォームの上に、直線基調の1.5ボックスボディと両側スライドドアを組み合わせた。リアは優れた使い勝手の跳ね上げ式ゲートだ。
全長は4mをちょっと超えた長さだが、巧みなパッケージングによって7人乗車を可能にした。背を高くしたこともあり、3列目でも実用になる広さを確保している。
後席の下に燃料タンクがないため、キャビンだけでなくラゲッジルームもフラットで広い。3列目のシートは2列目シートの下に畳み込んで収納することができるダイブダウン機構が注目を集めた。2列目までシートを畳めば26インチの自転車も収納することができる。
エンジンは1.5Lの直列4気筒を搭載した。CVTはインパネシフトで、ウォークスルーが可能だ。デュアルポンプ式の4WDも用意されていた。
後期モデルは1.5LエンジンにVTEC機構を組み込み、余裕を増している。また、福祉車両を設定するなど、ホンダのやる気を感じたが、2代目はモビリオの名前を使わず、フリードと改名した。
ホンダらしい機能的なコンパクトミニバンだったが、それがファミリー層に理解されず、販売は伸び悩んだ。個性の強いデザインも好き嫌いが分かれた。ちょっとデビューが早すぎて損をしたミニバンと言えるだろう。今なら高く評価されたはずだ。
■ホンダ エディックス
2004年7月に鮮烈なデビューを飾ったのがホンダのエディックスだ。ワゴンとミニバンのいいとこ取りをした6人乗りのマルチパーパスカーで、1列に3人が座って2列シートレイアウトのまま6人乗りを実現している。
考え方は日産のティーノと同じだが、エディックスはシートレイアウトに工夫を凝らした。FF車の全高は1610mmあり、全幅も1795mmだからキャビンは前席も後席も広い。
シートはすべて独立して、スライドとリクライニングが可能だ。この手のクルマは中央席が窮屈になるのが一般的だが、エディックスは前席の中央席を独自にスライドでき、しかも後方までスライドできるようにしている。
意表をつくV字レイアウトだから、ドライバーの運転操作を妨げない。もちろん、フロアはフラットで、横へのウォークスルーも可能にした。シートレイアウトとアレンジも多彩だ。
エンジンは1.7Lと2Lでスタートしたが、後期モデルは2Lと2.4Lエンジンになる。ワイドトレッドで、エンジンも余裕たっぷりだからスポーティな走りを見せつけた。24Sはローダウンサスペンションを採用し、さらに気持ちいい走りを実現している。
最初は注目を浴びたが、すぐに販売は頭打ちとなり、低迷した。それでも我慢強く販売を続けていたが、2代目がベールを脱ぐことはなかったのである。
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