日産、2019年度 第1四半期の決算。「純利益94.5%減」の報を見て「うわ」と思った人は多いはずだ。
昨年までのゴーン体制、そして先日辞任した西川体制からの新生を目指す日産ではあるが、こうして現状の数字を見てみるとそのインパクトは大きなものがある。
果たして現場の士気は、本音はいまどんなものなのか? 流通ジャーナリスト 遠藤徹氏が、販売店の生の声をリポートする。
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※本稿は2019年9月のものです
文:遠藤 徹/写真:NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年10月10日号
■今こそ本社に物申したい!?
日産の今年1~7月の国内新車販売台数は36万3816台で前年同期に比べて6%のマイナスだった。トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次いで5位に留まっている。
他社の前年同期比はトヨタ5%増、ホンダ5.1%増、スズキ0.8%減、ダイハツ2.9%増だから、日産が飛びぬけて不振であることがわかる。
この要因として首都圏の日産販売店営業担当者は
「いつまで経ってもニューモデルを発売しないで古い車種ばかりだから、売れゆき不振になるのは当然だ」(日産店)、
「マイナーチェンジや特別仕様車の設定ばかりではライバル他社には勝てない。大幅値引きで売っているので収益も落ちている」(日産プリンス店)
と、一様に頭を抱えている。
確かに日産のニューモデル戦略はライバル他社に比べると遅れを取っており、パンチ力のない車種ばかりである。
年初からの主な流れを追ってみると、1月に電気自動車のリーフに航続距離を延長した「e+」を追加、3月末に軽自動車のデイズをフルモデルチェンジ、7月中旬発表の9月16日発売でスカイラインをビッグマイナーチェンジ、8月1日にセレナのマイナーチェンジなどとなっている。
■ニューモデルがないから売れないのは当然!? 軽以外の新型車が必要!
その後の主軸モデルの販売実績はどうなっているのか?
リーフは1~7月の登録台数が1万2405台で前年同期に比べて25.4%もの大幅なマイナス。
この理由は「従来モデルに比べると価格が50万円も高いうえにバッテリーの供給遅れで注文が入ってもスムーズに納車ができない」(日産店)とコメントする。
新型車デイズが発売になった軽自動車は1~7月の届出実績が11万9908台、前年同期比4.6%増とプラスだが、販売店はあまり明るい表情を見せていない。
「軽自動車は売れても利幅が少ないので収益にあまり貢献できていない。登録車の小型車以上が売れてくれないことにはどうにもならない」(同日産店)
とこぼす。
「販売台数を稼げるのは登録車だとノート、セレナ、エクストレイルの3車種だけであとはほとんど売れない」(プリンス店)
というのが販売現場の実情である。
この主軸3車種にしても1~7月の登録台数はノートが7万9857台、前年比6%減、セレナ6万2453台、前年比4%減、エクストレイル2万5457台、前年比23.5%減といずれもマイナスで立つ瀬がないといった感じだ。
■収益は悪化 巻き返しに期待
各販社の経営状況はどうなっているのか?
「メーカーと同様に収益が悪化しているのは間違いない。しかしだからといって社員の給料を減らしたり、ノルマがきつくて退社する人員が続出しているわけではない。メーカーが主導するキャンペーン企画でなんとかしのごうとしている状況にある」(プリンス店)
と打ち明ける。
ただ日産はこの厳しい状況に手をこまねいて見ているわけではない。来年になればデイズルークス、ジューク、エクストレイルなどのニューモデルが相次いで投入され、巻き返しに転ずる方向にある。
それまで我慢といったところだ。
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