■ガラスの歪みはドライバーを疲労させる
フロントの合わせガラスは5~6mm厚、サイドやリアガラスでも4~5mmの厚さがあります。
ガラス面は真っ平らではありません。特にフロントガラスはAピラーの接合部に向けて曲面を描いています。リアガラスもデザインのスポーティ化により、最近は形状も曲面化しています。
そして、この曲面部分やその周辺のガラスには、ほとんどの場合、相当な歪みがあります。つまり、実際は歪んだ画像を見ながら運転しているケースがあるのです。
もちろん、各ガラスには歪みを規定する法規はあります。しかし、この法規は完全に歪みを正すレベルではなく、ガラスのデザインによっては曲部に相当な歪みがあっても法規の規制外というケースもあります。
私もさまざまな車種の評価をしていますが、フロントウィンドウのコーナー部分(路肩や歩行者を確認する部分)から見ると車種によっては度の合わない眼鏡を掛けているような像の歪みを感じるケースもあります。
特にフロントに比較して、リアは規定が緩いので、両サイドを回り込ませて曲面を強くした、スポーティなバックドアガラスのデザイン処理をしたクルマに乗ってルームミラー越しに後方を見ると、あたかも歪んだスクリーンに映している動画のように、目が回る感覚のモデルも最近は増えてきました。
同じ車種でも製造のバラツキや誤差によって、歪みが気にならない車両もあれば、気になる車両もあります。
A3サイズの紙に大きな二重丸を書いて、知人に窓の周りや、いろんな場所で掲示をしてもらい、運転席から見てください。場所により、二重丸が結構歪んで見えることがわかると思います。
また、合わせガラスは5mm程度の厚みがあるため、平滑に作られていたとしてもガラスの屈折による影響があります。特に、モノフォルムでフロントウィンドウ下端を前進させて傾斜を強めた形状は、屈折の影響を大きく受けます。水面をより浅い角度から見ると屈折が大きく、水中が歪んで見える理屈と同じです。
トラックやバスのようにフロントウィンドウが直立していると、屈折の影響はほぼありません。この様な視界の歪みは「運転感覚や眼精疲労に強く影響」します。
最近の合わせガラスには多くの機能が付与されていますが、その話は次回改めてお伝えしたいと思います。
【画像ギャラリー】ここがポイント! クルマ乗りなら知っておきたいフロントガラスのアレコレって?(3枚)画像ギャラリー
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